翻訳|gallery
広間と通路を兼ねた細長い部屋ないし廊下で,さまざまな機能と形態をもつ。柱列等により側面が開放され,建物の2階より上の外または内側に張り出して設けられる場合が多い。教会堂では,身廊へ向かって開く側廊上の階上席をさすが,これはできるだけ多くの会衆を収容するための付属席として発達し,東西両キリスト教会の大聖堂,教会建築内部の重要な構成要素となった。バシリカ式教会堂のギャラリーは特にトリビューンと呼ばれる。一方,ロマネスク時代の教会堂では,外壁上部に沿って実際には用いられない小歩廊が設けられたが,この装飾は小ギャラリーと呼ばれる。壁面から突出した通路,バルコニー,観覧席もギャラリーと総称され,劇場,講堂,体育館,ホール等における桟敷席,楽士席,貴人席,階上席などもこれに含まれる。近世以降の劇場,映画館では特に低料金の最上階席(天井桟敷)をさすことが多い。ルネサンス,バロック時代のフランスおよびイギリスの城館,領主館,大邸宅では,2階のギャラリーがしばしば重要な広間として設けられた。ベルサイユ宮殿の〈鏡の間Galerie des Glaces〉はその好例。細長い広間が展示空間として使われることにより,美術館ないし展示場もギャラリーと呼ばれ,その代表例はウフィツィ美術館,ロンドンおよびワシントンのナショナル・ギャラリーである。また,屋根付き歩行者通路もギャラリーと呼ばれ,転じてそこに集まる群集,特にゴルフ競技の観客をもさす。ほかに,細長い写真撮影室,射撃室,坑道,および工芸用語として机,書棚などの縁を飾る手すり状の囲いがギャラリーと呼ばれる。
執筆者:日高 健一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
本来の意味は、建物の外側の歩廊、回廊をいうが、アレクサンドロス大王の時代に、収集した美術品をそこに並べたところから、美術品の展示場をいうようになった。正確にはart galleryあるいはpicture galleryである。今日でも、ギャラリーは天井桟敷(てんじょうさじき)とか、さらに見物人・傍聴人などの広い意味で用いられているが、美術の世界では、この世界特有のことばとなっている。通常それは美術館内の各室、もしくは美術商の展示スペースを意味するが、ロンドンやワシントンのナショナル・ギャラリーのように、大小美術館の名称そのものとなっているところもあり、それはアレクサンドロス大王時代の用法である。
19世紀末に近代的な意味での画商が成立して以来、そこにはギャラリーが設置されて、取扱い作家の作品を絶えず展示する習慣が生まれ、社会的な意味をもつに至った。作家にとっては作品発表の不可欠な場所であり、愛好者にとっては作家を知る重要な場所となり、そこからさまざまのドラマが生まれ、歴史がつくられた。
日本でも、江戸時代の寛政(かんせい)期(1789~1801)に京都東山で書画会が催されたのを先駆例として、美術展示の必要が徐々に高まった。東京に常設的な展示場が設けられたのは20世紀初頭の1903、04年(明治36、37)で、その後、大正初年にかけて、近代的な画商が誕生するとともに、ギャラリーも設けられた。ただし、ギャラリーを「画廊」と訳すようになったのは大正10年代である。
多くの画商は画廊をもつが、そうでない業者もある。反対に画廊を営むが美術品売買をしない業者もある。
[瀬木慎一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 リフォーム ホームプロリフォーム用語集について 情報
…排水用のパイプや動力のケーブルなど,必要なものはすべて,これらの斜坑を通って行く。
[横坑adit(drift,gallery)]
横坑はほぼ水平に入る坑道であるが,山腹から横坑で鉱床を開発する例は多い。山頂部の露頭から開発した鉱床が下部へ下るのを追って,つぎつぎと横坑を開削して採掘を継続する。…
…キリスト教聖堂の側廊やナルテックスの上に設ける,身廊に面して開放された2階部分。階上廊,ギャラリーともいう。トランセプトや内陣にも設けることがある。…
…他方,彫刻を中心に収集,展示している場合(彫刻館)は,とくにドイツでグリュプトテークGlyptothekと呼ばれることがある。また元来は歩廊,通路,バルコニーなどを指すギャラリーは,ロンドンやワシントンのナショナル・ギャラリーに見られるように,絵画館に近い意味で使われることが多いが,ウフィツィ美術館Galleria degli Uffiziなどの例のように,より広い意味で使われることも少なくない。いずれにしても現代のように美術そのものの概念が著しく多様化し,拡大し,変化してゆく時代にあっては,美術館の定義もまた流動的ならざるをえない。…
…イタリア・ルネサンスの邸宅建築でも中庭周囲の列柱廊を除き,廊下はわずかしか用いられず,続き部屋による構成が目立っている。住宅における廊下の活用はイギリスのルネサンス建築で復活し,連絡通路としての歩廊のほかに,ロング・ギャラリーlong galleryと呼ぶ長大な歩廊型の室が生まれ,はじめは武術の道場として用いられたが,後にはもっぱら美術品展示室として利用された(ギャラリー)。17世紀のイギリスでは,コールズヒルColeshill(1650ころ)のような完全な中廊下式の住宅が生まれ,18世紀のテラス・ハウスでは,廊下兼階段室の独立が通例のものとなり,各室の独立が確立されていたが,大陸諸国で廊下の利用による各室の独立が達成されたのは,19世紀に入ってからであった。…
※「ギャラリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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