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イギリス・ゴシック様式 イギリス・ゴシックようしきEnglish Gothic style

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イギリス・ゴシック様式
イギリス・ゴシックようしき
English Gothic style

主として建築に使われる用語。イギリスのゴシック聖堂建築は,サンスのウィリアムによるカンタベリー大聖堂,アバロン司教聖ユーグのリンカーン大聖堂,ランスのアンリによるウェストミンスター寺院などのように,創建時にフランスの建築家を採用するなど,フランス・ゴシック様式の影響を受けつつも,アングロ・サクソン様式以来の伝統を保ちながら,3段階にわたってイギリス独特のゴシック建築を発展させた。まず 12世紀後半から 13世紀中頃にかけての初期ゴシック建築は,初期イギリス様式と呼ばれる。長い身廊と幅広い翼廊の平面を特色とし,水平線を重視し,個々のアーチやモールディングを強調してパターン化させるとともに,柱やオジーブの形づくる線は連続する律動性をもつ。ソールズベリー大聖堂を典型とし,リンカーン大聖堂やウェルズ大聖堂が代表的な存在。13世紀後半から 14世紀中頃になると建築の各部分はいっそう装飾化され,華飾様式(→デコレーテッド・スタイル)が形成される。オジーブが複数化され,束ね柱と連続して上に伸び広がる線をきわだたせるボールトがつくられ,これは 14世紀になると,星状ボールトなどの装飾化された天井に発展する。窓も広くなり,花弁形などの曲線的な狭間飾り(→トレーサリー)がつけられる。ヨーク,リッチフィールド,エクセターの大聖堂が代表的。さらに 14世紀後半から 15世紀になると,パーペンディキュラー様式が登場する。窓が極度に大型化されてくるため,狭間飾りは小窓を幾段にも重ね上げた形になり,垂直線が強調されて建物全体に及び,天空に向かって伸びるデザインは,フランス・ゴシック建築とは異なる直截なイメージをもつ。ボールトも装飾的な複雑な網形のものから,イギリス独特の扇形ボールトとなってその頂点に達する。グロスター大聖堂やウィンチェスター,ヨークの大聖堂が代表的であり,16世紀に建造されたケンブリッジのキングズ・カレッジ礼拝堂およびウェストミンスター寺院のヘンリー7世の礼拝堂は,この様式の最も発展した例である。

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