カンタベリー大聖堂(読み)カンタベリーだいせいどう(英語表記)Canterbury Cathedral

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンタベリー大聖堂」の意味・わかりやすい解説

カンタベリー大聖堂
カンタベリーだいせいどう
Canterbury Cathedral

イギリス,ケント県カンタベリーにある大聖堂中世にはイギリスの精神的一中心地であった。最初の聖堂は 1070年から 1089年の間に建てられたイギリス最初のゴシック様式の建築。その後何回か増築,修復がなされ,東西に祭室,翼廊修道院や図書館をもつ現在の二重内陣式大聖堂となる。 1174年火災ののち,フランスのサンスウィリアムにより一部建て増しされ,フランス盛期ゴシック様式が導入された。続いて同名のイギリス人建築家ウィリアム,および J.ボックス,H.イェベーレらにより建造された部分には,イギリス特有の構造体が装飾によって隠されるパーペンディキュラー様式がみられる。 1988年セント・オーガスティン修道院セント・マーティン聖堂とともに世界遺産の文化遺産に登録。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンタベリー大聖堂」の意味・わかりやすい解説

カンタベリー大聖堂
かんたべりーだいせいどう
Canterbury Cathedral

ロンドンの東南東85キロメートルのカンタベリーにあり、イギリス国教会(イングランド教会)の総本山になっている大聖堂。カンタベリーが6世紀にサクソンケント王国の首都になり、イングランド最初の司教座(のちに大司教座に昇格)が置かれたのが起源チョーサーの『カンタベリー物語』に生き生きと描かれているように、中世には巡礼地としても人気が高かった。現在の大聖堂は1070年から1503年にかけて造営され、東西二重の袖廊(そでろう)があるところなどにロマネスク式原形が認められるが、全体としてはイギリス後期ゴシック独特の垂直様式の要素が強い。西袖廊の左側に、1170年に殉教した大司教トマス・ベケット記念の場がある。1988年に聖オーガスティン大修道院聖マーティン教会とともに世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[紅山雪夫]

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