イサザアミ(英語表記)Neomysis intermedia

改訂新版 世界大百科事典 「イサザアミ」の意味・わかりやすい解説

イサザアミ
Neomysis intermedia

アミ目アミ科の甲殻類体長1cmくらい。体は淡褐色半透明。雌は育房に黒色素を有する。雄の第4腹肢外肢は変形し長大,その第1節は第2節の2倍の長さを有する。第2触角の外肢(鱗片)は細長く鋭くとがっている。尾節は倒台形で,長さは幅の2倍より少し短く,側縁には同じ長さのとげが約20本列生し,後縁には1対の長いとげの間に2本の短いとげを有する。日本,シベリアアラスカ,北アメリカなど,北太平洋を囲む地域に分布し,汽水域から淡水域の,かつては海と連絡のあった湖沼に陸封され,海跡動物となっている。このような例は,本州の北浦霞ヶ浦八郎潟や北海道の塘路湖,網走湖などに見られるが,現在も海とつながりがあり完全な淡水の湖沼とはなっていないものが多い。豊産の地では盛んに漁獲され,飼料やつくだ煮にされる。近似種にクロイサザアミN.awatschensis,ニホンイサザアミN.japonica,エゾイサザアミN.mirabilisほかがあり,尾節形態などで区別される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イサザアミ」の意味・わかりやすい解説

イサザアミ
Neomysis intermedia

軟甲綱アミ目アミ科。体長約 1cm。湖沼や汽水域に生息するアミ(→アミ類)で,多量に漁獲されて佃煮にされるほか,餌料としても利用される。日本,ロシアシベリア,北アメリカ太平洋沿岸域に分布する。同じような環境に生息するクロイサザアミ N. awatschensis食用として重要で,日本南部,中国沿岸域で知られている。東京湾以南の河口域にはニホンイサザアミ N. japonica が多産し,ときに淡水域にまで侵入してくる。(→甲殻類節足動物軟甲類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イサザアミ」の意味・わかりやすい解説

イサザアミ
いさざあみ
[学] Neomysis intermedia

節足動物門甲殻綱アミ目アミ科に属する水生小動物。日本、シベリア、アラスカ、カナダからアメリカ合衆国ワシントン州まで広く分布し、海跡湖沼や汽水域に生息している。体長1センチメートルほどで、典型的なアミ類の体制を示し、頭胸甲の前端が丸い。尾節は丸みのある長三角形で、側縁に約20本のとげが並び、末端には長短1対ずつのとげがある。近縁種のクロイサザアミやニホンイサザアミとともに、佃煮(つくだに)などの食用とされる。また、釣りの撒き餌(まきえ)や飼料にも加工される。

[武田正倫]

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栄養・生化学辞典 「イサザアミ」の解説

イサザアミ

 アミの一種.佃煮などにする.

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