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イスラム建築 イスラムけんちくIslamic architecture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イスラム建築
イスラムけんちく
Islamic architecture

イスラム教を信奉する諸民族の建築。狭義にはモスク(地域によってマスジド,あるいはジャーミとも呼ばれる),学院(マドラサ,メドレセ),道場(ザーウィヤ,ハーンカー,タキエ),聖廟(アラムガー,ダルガー),墓廟(クッバ,ゴンバッド,チュルベ)などの宗教的施設としての建築をさすが,広義には住居,宮殿,城郭をはじめ,市場(スーク,バザール),隊商宿であるキャラバンサライ(ハーン,ラバト,フンドゥーク),浴場(ハンマーム)などのような世俗的施設としての建築をも含めていう。歴史的には 7世紀に始まり,当初は主としてビザンチン建築の伝統とササン朝ペルシア建築の伝統とを受け継いだ。以来 1300年間にわたる様式的発展はきわめて多様で,少なくとも初期(11世紀以前),中世(12~15世紀),近世(16世紀以後)の 3段階と,マグレブおよびスペイン圏,中東アラブ圏,トルコ圏,イラン中央アジア圏,インド圏,東南アジア圏の 6系統に区別される。全般的な傾向としては,中庭形式が多く,構造材料には焼成煉瓦,日干し煉瓦,割り石コンクリートなどを,また仕上げ材料にはスタッコテラコッタ,彩釉タイル,石パネルなどを用いている。また架構に尖頭形,馬蹄形,多弁形のアーチをはじめ,ボールトスキンチペンデンティブドームなどの曲面構造を駆使している例が多い。固有の要素としてはミナレット(光塔),イーワーン(前面開放型広間),スタラクタイト(鍾乳石状装飾)などがあげられる。また徹底した偶像否定の精神から具象的な壁画や彫刻は普及せず,アラビア文字で綴った『コーラン』の聖句や,抽象的な幾何学文様,植物文様などを浮彫,透かし彫,モザイク,象眼などによって表現する平面的な装飾が発達したのも,著しい特徴である。

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世界大百科事典内のイスラム建築の言及

【イスラム美術】より

… イスラム初期のアラブは独自の建築様式をもたず,征服地の文化,すなわちペルシア,ビザンティン,西ゴートなどイスラムに先立つ文化の伝統を借用し,これを修正し,修飾を付加しつつ独自の様式を確立していった。イスラム建築の大きな特色は,それが構造から離れた表面装飾に傾斜していることである。建物の構造の一部は,しばしば装飾単位に変形して壁面を覆い隠す。…

【インド美術】より

…とくに初期のものはインド的な要素が濃く,デリーのクトゥブ・モスク(1192‐98創建)はアラビア風の配置になりイラン建築の影響も見られるが,ヒンドゥー教寺院の石材を転用しインド式のアーチ工法を採用している。イスラム建築には会堂すなわちモスク(マスジド)や廟墓(マクバラー)のほかに,城砦(キラー)や宮殿(マハル)もある。それらは大きなドームとアーチを多用し均斉のとれた構成になり,16世紀のムガル朝の出現とともにその様式の完成をみた。…

※「イスラム建築」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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