テラコッタ(読み)てらこった(英語表記)terracotta イタリア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テラコッタ」の意味・わかりやすい解説

テラコッタ
てらこった
terracotta イタリア語

原語では焼いた土、赤土焼、素焼の意。泥塑に次ぐ原始的な塑造で、石器時代から並行してつくられたと考えられる。砂質の多い鉄分を含む粗粘土で造形したものを乾燥させ、800~1000℃の低温で焼成する。古代から壺(つぼ)や瓦(かわら)、れんがなどに用いられ、メソポタミアやエジプトなどの遺跡から発見されている。日本埴輪(はにわ)や、中国の俑(よう)などもテラコッタの一種である。とくに、ギリシアの古代都市タナグラの墓地から多く発見された小像はタナグラ人形とよばれて有名である。およそ紀元前8世紀ごろの製作で、着衣の婦人像が多く、着色もされており、当時の風俗を写実的に伝えている。またエトルリア美術における「夫妻像棺」や、神殿の屋根を飾っていた『ベイオのアポロン像』も優れたテラコッタの作品である。14世紀以後のドイツ、15世紀のイタリアでも盛んにつくられ、ドナテッロやルカ・デッラ・ロッビアの佳品が残されている。現代においてもデスピオの『クラクラ』、藤川勇造の『シュザンヌ』などはテラコッタであり、木内克(きのうちよし)も手捻(てひね)りの小品を多く残している。

[三田村畯右]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テラコッタ」の意味・わかりやすい解説

テラコッタ
terra-cotta

彫刻用語。イタリア語で「素焼」の意 (→彩色テラコッタ ) 。メソポタミア,古代ギリシア,エトルリアにおいてみられ,15世紀に復興し,現在も手がけられている。古代ギリシアのタナグラ人形や中国の俑 (よう) や,日本の土偶,埴輪は代表的な例である。

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