イヌガラシ(英語表記)Rorippa indica (L.)Hiern

改訂新版 世界大百科事典 「イヌガラシ」の意味・わかりやすい解説

イヌガラシ
Rorippa indica (L.)Hiern

田のあぜ道や,やや湿った道端などに多いアブラナ科多年草。茎は基部から分枝して高さ30~50cm。葉は長さ6~15cm,先が細くなった楕円形で,粗い鋸歯があり,毛がない。下部の葉は羽状に分裂する。4~6月ごろ,枝の上部に小さい黄色の花を多数つける。花弁は4枚あって長さ3~3.5mm。果実は長さ16~20mmの棍棒状で5~7mmの柄があり,やや曲がって立ち上がる。日本,中国からインドにかけて分布する。

 コイヌガラシR.cantoniensis(Lour.)Ohwiは葉が深く切れ込んで,果実に柄がない。スカシタゴボウR.islandica(Oeder)Borbásは葉が羽状に切れ込み,果実は柄があって短い。ミチバタガラシR.dubia Haraはやや小型で高さ10~18cm,花弁がない。この属は世界に約50種あり,英名yellow cressという。若い植物はゆでて水にさらし辛味をとってから食用にされる。またイヌガラシやスカシタゴボウは漢方薬として種子や全草が用いられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イヌガラシ」の意味・わかりやすい解説

イヌガラシ
いぬがらし / 犬芥子
[学] Rorippa indica (L.) Hiern

アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の多年草。全草無毛。根は白く強大。茎は粗く分枝して高さ20~40センチメートル。葉は互生し、倒披針(とうひしん)形または長楕円(ちょうだえん)状披針形で長さ6~15センチメートル、鈍頭羽裂または不規則な鋸歯(きょし)縁となる。基部は狭まって葉柄状となり、耳状に茎を抱く。5~11月、分枝の先に4~6センチメートルの総状花序をつけ、花弁はへら形黄色で長さ3ミリメートル、萼(がく)よりすこし長い。長角果は線形で長さ約2センチメートル、花柱は太く短い。日本全土の畑や道端に生える雑草で、朝鮮、中国、インドにも分布する。この属は世界に約70種、日本に5種分布する。

[小林純子 2020年11月13日]


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百科事典マイペディア 「イヌガラシ」の意味・わかりやすい解説

イヌガラシ

日本全土,アジアに分布し,湿りけのある草地にはえるアブラナ科の多年草。全体無毛で高さ20〜40cmになる。葉は羽状に裂ける。ほとんど一年中総状花序に径3〜4mmの黄色い4弁花を多数つける。果実は16〜20mmの棍棒状でやや曲がって立ち上がる。近縁のミチバタガラシは都市多くはえ,花弁はなく,果実がまっすぐで,湾曲しない。

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