イビサ、生物多様性と文化(読み)イビサ、せいぶつたようせいとぶんか

世界遺産詳解 の解説

イビサ、せいぶつたようせいとぶんか【イビサ、生物多様性と文化】

1999年に登録されたスペインの世界遺産複合遺産)。イビサ島は、イベリア半島の東方沖、西地中海に浮かぶバレアレス諸島に属する島である。バレアレス諸島は古くから西地中海の海上要衝とされ、古くはフェニキアカルタゴの支配地となり、その後支配権はローマ帝国に移り、ローマ帝国滅亡後は、バンダル人、東ローマ(ビザンチン)帝国、北アフリカやイベリア半島のイスラム諸国、アラゴン王国などの間で、その支配・領有をめぐる戦いが繰り返されてきた。最終的にはアラゴン王国が支配を確立し、同王国などを統合して誕生したスペイン王国が同諸島を領有することになった。このような歴史的な経緯から、イビサ島にはフェニキアやカルタゴの考古学遺跡や、スペイン(アラゴン)領時代の要塞などの軍事遺跡が残っている。同島の防壁で囲まれたアルタ・ヴィラの町も、こうした時代の名残である。イビサ島は地中海性の気候に恵まれた豊かな自然を残しており、松林アーモンドイチジクなどの木々が分布し、海域には地中海固有種の海草が分布するなど生物学的にも重要なエリアになっている。これらが理由で、文化・自然両面から複合遺産として世界遺産に登録されることになった。◇英名Ibiza, Biodiversity and Culture

出典 講談社世界遺産詳解について 情報