改訂新版 世界大百科事典 「イボイノシシ」の意味・わかりやすい解説
イボイノシシ
warthog
Phacochoerus aethiopicus
頭部に大きなこぶwartと発達したきばをもつアフリカに分布するイノシシの1種。偶蹄目イノシシ科の哺乳類。サバンナと明るい森林にすむ。体長145~190cm,肩高65~85cm,体重50~150kg。体色は暗褐色で,首と背側は長い粗毛のたてがみで覆われる。上下の犬歯はきばとなり,上あごではとくに長く,曲がって上方にのびる。きばはライオン,ヒョウなどの天敵に対する防衛や雄どうしの闘いの際の武器として使われる。目の前方および下あごの側方にある特徴的なこぶは皮膚の発達したひだで,雄でとくに目だつ。昼行性で雄は単独,雌は1,2頭とその子からなる小群をつくる。日中は泥浴びをしたり,草,根,樹皮などを食べて過ごす。食事の際には地表の食物をとるために,肉球のついたひざを地面につけた独特の姿勢で,頭を低くして進む。日没後は自分で掘った穴,あるいはしばしばツチブタが掘った古い巣穴に,周囲を警戒しながら体の後部から入り休む。巣穴は出産用の巣としても使われ,雌は10~11月に2~4子を生む。子はイノシシに見られるような縞模様をもたない。
→イノシシ
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報