インドボダイジュ(読み)いんどぼだいじゅ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「インドボダイジュ」の意味・わかりやすい解説

インドボダイジュ
いんどぼだいじゅ / 印度菩提樹
[学] Ficus religiosa L.

クワ科(APG分類:クワ科)の常緑樹テンジクボダイジュ天竺菩提樹)ともいう。インド、スリランカ原産。葉は革質で表面は滑らか、長い柄があり、先端が細長く伸びて尾状になる。イチジクのような隠花果がつき、径1.5センチメートルほどで暗紫色に熟す。日本へは明治中期に渡来し、観葉植物として温室で栽培される。寒さにやや強く、4℃から零下1℃でも越冬する。繁殖挿木による。釈迦(しゃか)がこの樹の下で悟りを得たことで名高い。なお、普通にボダイジュ(ドイツ語名リンデンバウム)とよんでいるものは本種とは別であり、中国原産のシナノキ科(APG分類:アオイ科)の落葉樹、およびこれと近縁種との雑種である。

[星川清親 2019年12月13日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のインドボダイジュの言及

【アコウ】より

…防風,防潮用のほか,木陰樹としても利用される。釈尊がその樹の下で悟りを開いたと言われる菩提樹は,日本の寺院に植えられているボダイジュTilia miqueliana Maxim.ではなく,インドボダイジュF.religiosa L.(英名bo‐tree)で,気根を垂らす,巨大な雌雄同株のイチジクである。イヌビワF.erecta Thunb.は日本の暖地に普通に生える落葉低木で,果囊は黒く熟して食用になる。…

【インドゴムノキ】より

…アサヒcv.Asahiはデコラの枝変りで,葉縁が白,淡ピンクの覆輪となり,強健で草姿もよい。このほか常緑のイチジク属Ficus植物には,インドボダイジュ,コバンボダイジュF.diversifolia Bl.(東南アジア原産,低木で葉も小型),フィカス・ベンジャミナF.benjamina L.(インド原産,小型の葉),カシワバゴムノキF.lyrata Warb.(アフリカ原産,カシワ状の大型の葉)のように観葉植物として栽植されるものがある。ゴムノキの仲間は,挿木または取木でふやすが,発根には15℃以上の高温が必要。…

【ボダイジュ(菩提樹)】より

… 釈迦が,その木の下で菩提を成就し,仏となったという菩提樹は,仏教やヒンドゥー教で神聖な木とされている。このインドの本来の菩提樹はインドボダイジュFicus religiosa L.(英名bo tree,bodhi tree)の名で呼ばれるクワ科の常緑広葉樹で,葉は広卵心形で先端は尾状にとがっている。しかしインドボダイジュは熱帯植物で,仏教の伝来した中国では育たない。…

※「インドボダイジュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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