経済的な利益だけでなく、社会や環境などの課題の解決も同時に目指す投資行動。環境対策や社会問題に配慮して投資先を決める「ESG(環境・社会・企業統治)投資」と似ているが、インパクト投資は社会や環境に与えた影響の度合いを数値化して測定し、結果を開示する。2007年に米ロックフェラー財団が主導した国際会議で提唱され、08年のリーマン・ショックで資本主義経済への危機感が高まったことから世界に広がった。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
慈善活動と利益獲得の二つを目標とする投資手法。社会貢献投資、インパクト・インベスティング、インパクト・インベストメントともいう。経済的利益を追求すると同時に、貧困や飢餓、乳幼児死亡、男女差別、環境破壊といったおもに開発途上国の社会的問題の解決を目ざすところに特徴がある。従来の途上国支援は寄付や政府開発援助(ODA)が主流で、いずれも単発(短期間)で終わる場合が多く、長く援助を続けることが課題となっている。インパクト投資は社会的な問題を解決するだけでなく、株式や債券投資を通じて投資家へ利益をもたらすため、持続的な支援が可能な仕組みとされる。国際援助を評価する代表的指標に国連などが使っている「インパクト(社会的影響)評価」があり、これにちなんでインパクト投資とよばれる。
インパクト投資は、アメリカのロックフェラー財団などの慈善団体が資金の提供者となって2000年代初頭から始まったとされる。社会貢献に取り組む国際組織の発行する債券や株式を購入する直接投資が代表的な手法である。貧困層へ事業資金を融資するマイクロファイナンス機関からローン債権を購入するほか、アキュメン・ファンド(アメリカの非営利団体)などインパクト投資専門の投資ファンドへの投資、非政府組織(NGO)の買収といったM&A(買収・合併)など、多様な投資手法がある。予防接種活動を支援する国際機関の債券(ワクチン債)購入などの個人投資もインパクト投資に含まれる。ロックフェラー財団主導で2010年に設立された国際組織グローバル・インパクト・インベスティング・ネットワークGlobal Impact Investing Network(GIIN)はインパクト投資の社会貢献効果と経済的効果を公平に評価する格付けづくりに乗り出しており、所得の向上、乳幼児死亡率の低下、女性の就業率向上などを評価の目安とするインパクト・レポーティング・アンド・インベストメント・スタンダードImpact Reporting and Investment Standards(IRIS)などの指標も生まれている。アメリカでは、インパクト投資を受けた団体や組織に税制優遇措置を講ずる動きも広がっており、JPモルガン・チェースは2020年ごろまでに、新たに最大1兆ドルのインパクト投資がなされると試算している。
インパクト投資以外にも、社会的責任投資(SRI)、マイクロファイナンス、ESG(環境・社会・ガバナンス)目標などといった類似の概念がある。それぞれ概念の定義は厳密ではなく、互いに重複する金融行動が含まれている。
[編集部]
(2021-1-07)
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