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直接投資 ちょくせつとうしdirect investment

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

直接投資
ちょくせつとうし
direct investment

経営参加を目的として株式を購入したり,現地の既存企業を買収したり,新たに工場を建設したりする投資をさす。一方,値上がり益や利子・配当所得を目指した証券の購入が間接投資である。日本の直接投資は 1986年以降急増している。これは (1) 円高によって海外の生産コストが低下し,海外生産が有利化したこと,(2) 貿易摩擦を避けるため,現地生産を行う企業が増加したこと,(3) 海外の不動産所得のための投資が活発化したこと,などのためである。直接投資の受入れは,発展途上国からも先進国からも歓迎されることが多い。それは (1) 現地雇用の増加に貢献すること,(2) 債務性がないため経済運営を制約しないこと,(3) 現地生産に伴い,技術移転が進むことが期待できること,などのためである。 (→国際資本移動 )  

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知恵蔵の解説

直接投資

国際資本移動の一形態。他国での子会社設立や子会社への金銭貸付、経営参加を目的とした企業の株式取得(国際収支統計上は10%以上)などを含む。金融的収益獲得の目的で行われる間接投資と並ぶ概念。直接投資は、受け入れ国に資本形成、技術や経営資源の移転をもたらす。進出の動機によって、生産条件指向型(低賃金国への工場設置など)、資源開発型、市場密着型、貿易摩擦回避型、グローバル・ネットワーク構築型、などに分かれる。直接投資が垂直統合の形態をとる場合は、効率性の向上や市場支配力の拡大といった利点があるが、立地論上は集積効果も強調される。プラザ合意以降、日本企業は1980年代後半から90年代前半にかけて、ASEAN諸国を中心に短期間に大規模な直接投資を行ったが、近年ではWTOに加盟した中国への進出が急増している。ユーロ導入後は、欧米大企業間のM&A関係の直接投資が活発化している。新興市場では、ラテン・アメリカと東アジアが直接投資受け入れの大部分を占める。

(絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉の解説

ちょくせつ‐とうし【直接投資】

外国における企業の経営支配を目的として行われる対外投資。既存企業の株式の取得、子会社の設立、支店・工場の新設などの形態をとる。

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世界大百科事典 第2版の解説

ちょくせつとうし【直接投資 direct investment】

企業が成長し,その生産・販売・経営の技術の集合である〈経営資源〉を,国境を越えて再配分する行為を直接投資と呼ぶ。証券投資portfolio investmentとしての外国証券の購入(間接投資)に対応する用語。外国で直接事業活動を行うところに特徴があり,対外(海外)直接投資direct foreign investmentともいわれる。直接投資を行う企業は,多国籍をもつ,あるいは国境を越えて生産活動を行うため,〈多国籍企業〉〈超国家企業〉とも呼ばれる。

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大辞林 第三版の解説

ちょくせつとうし【直接投資】

経営参加や技術提携を目的として、ある国の企業が外国の企業の株式などに対して行う投資。海外直接投資。 ↔ 間接投資

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

直接投資
ちょくせつとうし
direct investment

国際資本移動の一形態で、投資家が外国で事業を行うため、被投資国で実物資産を獲得したり、あるいは事業の支配権を握る目的で被投資国の株式を取得する場合をさす。間接投資(外国会社の株式の買入れ、外国公社債への応募、貸付)と異なり、直接投資は経営の支配を伴う。この支配には、株式を所有するという法的意味と、経営上の意思決定(人事、研究開発、新製品の発売、配当に関する)を握るという意味とがある。直接投資は、単なる資金の移動にすぎない間接投資と異なり、企業のもつ技術、経営・マーケティング能力、資金、原材料などの投入物あるいは市場への有利なアクセスなどの経営資源の移転を伴うもので、経営資源に対する統制が企業内に留保されている。
 直接投資の重要な担い手として多国籍企業があるが、その行動は投資国・被投資国の双方から注目されている。[相原 光]

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世界大百科事典内の直接投資の言及

【国際資本移動】より

…国際資本移動とは,いくつかの種類の異なる国際金融取引の総称であるが,一般に経営資源(生産技術や経営上のノウ・ハウ)を含む広義の資本という生産要素が国際的に移動することである。国際資本移動は,(1)間接投資,(2)直接投資,(3)経済援助,贈与および賠償からなっている。(1)の間接投資とは,A国の居住者(政府,公共体は除く)がB国の居住者の証券(株式,社債,国債)を買うか資金を貸し付けることである。…

【資本自由化】より

…広義には,対外資本取引に係る公的規制を撤廃し,外国居住者を相手とした株式・債券の売買や資金の貸借を自由に行わしめることをいうが,日本では慣習的に狭義に,外国から日本へ向けての直接投資(外資系企業の日本への進出)を自由化することを指すことが多い。 日本は,1964年にIMF協定8条の義務を受諾し(いわゆるIMF8条国への移行),輸出入取引等から生じる対外決済に関する公的制限を原則として行わないこととした。…

※「直接投資」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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