ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説
ウラディスラフ2世ヤゲロウェツ
ウラディスラフにせいヤゲロウェツ
Vladislav II Jagellovec; Ulászló II
[没]1516.3.13. ブダ
ボヘミア王 (在位 1471~1516) ,ハンガリー王 (在位 1490~1516) 。ポーランドのヤゲロニア王家の出身。カジミエシ4世ヤギェロンチクの長男。幼少時,歴史家ヤン・ドウーゴシの薫陶を受けた。父王カジミエシとボヘミア王イジーとの取り決めによって,イジーの没後その王位を継承。ハンガリー王マーチャーシュ1世コルウィヌスと戦ったが敗北,オロモウツの和 (1478) によってシロンスク (シュレジエン) ,モラビア,ラウジッツを失った。しかしマーチャーシュの死 (1490) 後,弟のポーランド王ヤン・オルブラフトとハンガリー王位を争い,勝利を収め,ウラースロー2世として即位した。外来王朝出身のため国内的基盤が弱く,大貴族に多くの譲歩を行ない,「なんでも異議なし王」 rex beneの異名をとった。一方,都市と農村の利益を無視しがちとなり,ボヘミアではしばしば都市の騒乱が起こった (1483年プラハ,1494~96年クトナーホラなど) 。都市の権利を制限した「ウラディスラフの国内法」の発布 (1500) 後は都市連合が結成されて,内乱の危機に直面した。またハンガリーでは農民の不満が高まり,1514年ドージャの反乱が勃発した。対外政策においては,台頭するハプスブルク家の勢力に対抗することができず,ボヘミアとハンガリーにおけるヤゲロニア家の支配もその子ルドウィク1世 (ハンガリー王としてはラヨシュ2世) をもって断絶する。
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