エオラプトル(読み)えおらぷとる(英語表記)eoraptor

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

エオラプトル
えおらぷとる
eoraptor
[学]Eoraptor lunensis

竜盤目獣脚類(亜目)に関係ある可能性をもつ原始的な一属で、アルゼンチンの三畳紀後期、約2億2000万年前の地層から産出した全長約1メートルの肉食恐竜。これまでの知識では、恐竜のなかで最古のものと考えられ、後の獣脚類との共通点もみられるが、そのどれよりも原始的である。属名は「暁の泥棒」の意味である。つまり「最初の略奪者」(最古の地質時代の肉食恐竜)のこと。アルゼンチンのアンデス山脈の山裾(やますそ)で「月の谷」とよばれる塩原に露出するイスチガラスト層の、かつてヘレラサウルスHerrerasaurusを産出したのと同一産地から1991年に発掘され、93年に記載命名された。体長が小さく、恐竜の共通の祖先として予期される大きさや構造を備えていた。活動的な恐竜であったと思われ、前肢は後肢の半分以下、二本肢(あし)の姿勢を示している。前肢は3本指であり、長い指は獲物をつかむためと推定される。発見されたのは、頭骨の大きさが20センチメートルほどの完全骨格であったが、化石の個体はまだ幼体であったと考えられるので、成体になれば全長2~3メートルに達するのではないかといわれている。エオラプトルの分類上の位置については、「原始的な獣脚類」とする意見と、獣脚類よりさらに原始的なので、「もっとも原始的な恐竜」とするしかないとする考えがある。その理由は、一つは歯列の特殊化である。上顎(じょうがく)の前後で、草食を思わせる木の葉型の歯と、肉食を示す鋸歯(きょし)状の縁をもつ鋭い歯に分化した2タイプがある。また、下顎の中央部には蝶番(ちょうつがい)式の関節を示す可動部がないことや、仙椎(せんつい)が3個しかないというような非常に原始的な特徴をもっている。前肢の指が4本で第5指は退化傾向にあり、後肢の機能指は3本で第1指と第5指が退行傾向にある。こういう恐竜の特徴は、足指が5本ある竜脚類や鳥盤型恐竜の祖先とするには進化が進みすぎていると考えられている。以上のような特徴をあわせもつことが、分類上どこに位置させるか議論が分かれるゆえんでもある。[小畠郁生]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラスの解説

エオラプトル

三畳紀後期に生息した肉食恐竜。全長約1メートル。1991年にほぼ完全な骨格化石が発見され、1993年に命名。最も原始的な恐竜と考えられており、二脚歩行と考えられる。獣脚類、竜脚形類など、分類には諸説ある。

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