オブジェクト指向プログラミング(読み)オブジェクトシコウプログラミング

デジタル大辞泉 の解説

オブジェクトしこう‐プログラミング〔‐シカウ‐〕【オブジェクト指向プログラミング】

object-oriented programmingコンピュータープログラミング技法の一。データに対する処理はデータそのものに付随したものであるというオブジェクト指向概念に基づく。プログラムの内部動作や操作手順の詳細を知ることなく利用でき、また、再利用が容易になるため、ソフトウエア設計や開発の効率化を図ることができる。この手法によるプログラミング言語としてC++Javaスモールトークなどがある。OOP

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

オブジェクト指向プログラミング
おぶじぇくとしこうぷろぐらみんぐ

一般の機械と同様に、コンピュータにおけるソフトウェア部品の組合せで構成されている。したがって、複雑なソフトウェアを効率よく、かつ誤りを少なく構築するためには、この部品をどのような基本概念で構成すればよいかが、きわめて重要な課題であり、さまざまな試みがなされてきた。初期の、そして現在でも多くのソフトウェアでは、「手続き」の概念で部品がつくられる。すなわち、対象(入力データ)を処理して出力データをつくる手順を、他の部品を呼び出す操作を加えながらまとめ上げ、それを部品として全体のプログラムに組み立てる。それに対し、オブジェクト指向プログラミングでは、世界をモノ(オブジェクト)の集合であるととらえ、オブジェクトの概念を単位として部品をつくり、オブジェクトどうしのメッセージ(信号)交換によって全体のプログラムが機能するべく構成する。具体的には、各オブジェクトは、その性質を規定するいくつかの属性データと、他のオブジェクトから送られるメッセージへの反応を規定する手続きによって構成される。すなわち、複数の属性と複数の手続きをひとまとめにして単位部品がつくられる。手続き部分は、自分の属性データを変化させ、あるいは他のオブジェクトへメッセージを送り出すステップからなる。オブジェクトは分類され、クラスとよぶ上位概念に関連づけられ、それを利用してプログラム作製の容易化、簡単化などを図ることができる。オブジェクト指向のプログラム言語としては、1968年に発表されたSIMULA(シミュラ)68を嚆矢(こうし)とするが、最近では、インターネットの代表的情報システムであるWWWなどで広く使われるJava(ジャバ)が有名である。この概念は、プログラミングのみならず、データベースヒューマン・インターフェースなどコンピュータ技術全般に広く行き渡りつつある。

[田村浩一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

オブジェクト指向プログラミング
オブジェクトしこうプログラミング
object-oriented programming

処理する手順よりも処理するデータに重みを置いてプログラムをつくる方法。現実の「もの」を扱う手法から着眼した。データとそのデータを操作するサブプログラム(メソッド)を一つにまとめたオブジェクトという存在を一つのまとまった部品とみなし,相互に関連するオブジェクトを集めてプログラムをつくる。その特徴はカプセル化,クラス,継承ということばで代表される。オブジェクトはメッセージを受け取るとメソッドを起動するが,どう処理しているかは外から見えない。これをカプセル化という。クラスとはオブジェクトの性質であり,従来のプログラム言語での型の定義に近い。継承とは,すでにあるオブジェクトの性質をすべて受け継ぐことである。こうした機能により既存のプログラムを効率よく再利用でき,開発の生産性が高まる。オブジェクト指向を最初に取り入れたプログラム言語は,1970年代にアラン・ケイが開発した Smalltalkである。代表的なものに,プログラム言語 Cにオブジェクト指向を取り入れた C++や Javaなどがある。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 の解説

オブジェクト指向プログラミング

オブジェクト指向を取り入れたプログラミング方法。オブジェクト指向に基づいたC++やJavaなどの言語を利用することを前提とする。プログラムを再利用しやすいため、開発コストを軽減できる。オブジェクト指向プログラミングの手法には、カプセル化、継承、多義性などの概念がある。

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