日本大百科全書(ニッポニカ) 「オレゴン道」の意味・わかりやすい解説
オレゴン道
おれごんみち
Oregon Trail
1840年代初頭から50年代にかけて、北アメリカ太平洋岸のオレゴンに移住する開拓民がたどった約3200キロメートルの大陸横断の道筋をいう。アメリカの東部では、1840年前後から、オレゴンのコロンビア川流域、とくにその支流のウィラメット川流域の豊かな農地を目ざす移住者が急激に増えた。いわゆる「オレゴン熱」である。通常、彼らはミズーリ州インディペンデンスで幌(ほろ)馬車を仕立て、まずプラット川沿いに北西に進み、サウス・パスでロッキー山脈を越え、ホール砦(とりで)を経てコロンビア川の上流に至るというルートをとった。当時アメリカ、イギリス両国が共有していたオレゴンへこのように大ぜいのアメリカ人が移住したことは、1846年にアメリカがオレゴン協定により同地を正式に獲得するための下地となった。
[平野 孝]