オートバイ競技(読み)おーとばいきょうぎ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

オートバイ競技
おーとばいきょうぎ

オートバイを用いる競技は、むろん性格は重複するが、主として速度を競うものと、操縦技術を競うものとに分けられる。いずれも、それは行う者、見る者の双方にとってきわめて興味深く、そのことが人々を競技に駆り立てる原動力となっている。と同時に、競技に勝つためには、より速く、より操縦性に優れたマシーンをつくらなければならず、そのための技術開発は副次的に量産オートバイの諸性能向上に大きく貢献している。
 速度を競うものには絶対的速度を競うものと、相対的速度を競うものとがある。絶対的速度を競うものは、最高速度記録や加速記録がある。1/4マイル(約400メートル)の特殊平坦(へいたん)直線路を2台で走り、到達時間を競い合う、アメリカ特有のドラッグレースもその一つとみることができる。
 相対的速度を競うものは、多数の車を同時に走らせる、いわゆるレースである。これにも、閉鎖したロードサーキット(舗装の不定形周回路)で行われる短・中距離のロードレースと、同様のコースを長距離または長時間にわたって走る耐久レース(エンデューロ)、無舗装で山あり谷あり泥沼ありの周回コースで行うモトクロス(オートバイによるクロスカントリーの意)などがある。ロードレースや耐久レースは舗装路上で行うのでオンロード・レース、モトクロスは道路をそれて行うのでオフロード・レースという言い方もある。このほか、特定の楕円(だえん)のコースで行うトラックレースもあり、それはダートの屋内や屋外、砂地、草地、氷上など種類も多い。欧米ではアマチュア・スポーツとして盛んだが、わが国ではオートレースとよばれる公営のギャンブル・レースとしてしか根づいていない。
 モトクロスなどは速度を競うもののなかでは一段と操縦技術が要求されるが、それ以上に操縦技術が競われるのがトライアルである。岩山や急坂、木の根のごろごろしたような荒れ地に設けられたコースを走り、転倒したり足をついたりすると減点されるという厳しいものである。したがってコースの全行程にわたって役員により監視されるので、オブザベーション・トライアルともよばれる。また数日間にわたって連続的にトライアルを行い、人と車の耐久力を試すリライアビリティー・トライアルもある。
 これらのオートバイ競技は、ほとんどの場合FIM(Fdration Internationale Motocycliste国際モーターサイクリスト連盟)の統轄のもとに行われる。FIMは各国を代表するオートバイ団体の国際的連盟で、たとえばわが国ではMFJ(The Motorcycling Federation of Japan日本モーターサイクル協会)が加盟している。国際的なオートバイ競技は、FIMが制定した国際スポーツ憲章The International Sporting Codeにのっとって行われる。その精神は、レースを平等にするためのイコール・コンディション(機会均等)と、レースの安全を確保することにある。また各国の国内レースは、それぞれの国内事情に応じて、各国のFIM加盟団体が定めた競技規則に基づいて行われる。
 国際的なレースには世界選手権の制度があり、それぞれ指定されたレースの成績に応じて得点を与え、年間の得点を集計してチャンピオンを決める。世界選手権は人(ライダー)とオートバイ生産会社(マシーン)の双方にある。現在世界選手権のある分野は、ロードレース、耐久レース、モトクロス、トライアル、スピードウェー、アイスレースなどである。このうちロードレースとモトクロスは排気量別に世界選手権がある。このほか、国別チームによって争われるモトクロス・デ・ナシオンMoto-cross des Nations、トロフェ・デ・ナシオンTrophe des Nations、国際6日間トライアルInternational Six Days Trial、FIMラリーFIM Rallyeなどがある。
 ロードレースは19世紀の末にフランスで始められて以来の歴史をもち、1904~06年の国際オートバイ・カップ・レースにより確立された。欧州各国に国名を冠したグランプリ・レースがあり、わが国でも1963~67年(昭和38~42)に世界選手権レースが行われた。もっとも有名なロードレースは、1907年以来の歴史をもつ、イギリスのマン島のTTレースThe Isle of Man, International Tourist Trophyがある。耐久レースでは、フランス中西部ルマン郊外で行われる24時間レースのボルドール(Bold' Ore黄金杯)が人気抜群である。なお、有名な四輪のルマン24時間レースも同地で行われる。わが国の鈴鹿(すずか)8時間オートバイレースも、この世界耐久選手権の一環である。ヨーロッパにおけるロードレースや耐久レースは、日本のプロ野球並みの高い人気をもつスポーツで、一流ライダーは国民的英雄である。
 他方モトクロスは1919年にイギリスで始められたもので、現在もっとも幅広い競技人口をもつオートバイのアマチュア・スポーツになっている。トライアルも発祥の地はイギリスで、有名なスコティッシュ6日間トライアルは1911年から行われている。
 マシーンの設計という面からみれば、ロードレースや耐久レース用のものは、比較的平坦な舗装路上を高速で走るため、エンジンは多気筒の高回転・高出力型で、重心を低くし、空気抵抗を減らすために流線型のカウリングを備える。モトクロスやトライアル用のものは、不整地を走るため地上高を高くし、取り回しのよさに重点を置いて設計される。両者は一見似ているが、比較的速度の高いモトクロス用が高速型の2ストロークエンジンを備えるのに対して、トライアル用は低速で粘る4ストロークエンジンを用いる例が多い。 [高島鎮雄]

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