ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カッツ」の意味・わかりやすい解説
カッツ
Katz, Bernard
[没]2003.4.23. ロンドン
イギリスの生理学者。 1934年,ライプチヒ大学医学部卒業。 1935~39年,ロンドンのユニバーシティ・カレッジで A.ヒルの指導を受けて神経生理学を研究。 1939~42年,カーネギー財団の研究員としてオーストラリアに行き,シドニー病院で J.エクルズらと神経筋接合部の機能,特にインパルスが神経から筋線維に移行する点について物理化学的観点から研究した。 1941年,オーストラリアの市民権を取得し,翌年,空軍に入隊。第2次世界大戦後ロンドンに戻り,ヒルの研究所の副所長となり,1950年ユニバーシティ・カレッジ生理学主任,1952年以降は生物物理学教授となる。また,この年にロイヤル・ソサエティの会員となり,1968年,イギリス医師会会員となる。 1970年には,神経線維から骨格筋線維へ興奮が伝達する機序の研究に対し,アメリカの J.アクセルロッド,スウェーデンの U.オイラーとともに,ノーベル生理学・医学賞を受けた。
カッツ
Katz, David
[没]1953.2.2. ストックホルム
ドイツの心理学者。実験現象学の代表的学者。 G.E.ミュラーに師事。ロストック大学教授を経て,1937年ストックホルム大学教授。実験現象学的立場から知覚現象の精細な研究を行い,さらに動物,児童に関する発達心理および要求心理に貢献した。主著『色の現れ方』 Die Erscheinungsweisen der Farben und ihre Beeinflussug durch die individuelle Erfahrung (1911) ,『ゲシュタルト心理学』 Gestaltpsychologie (43) 。
カッツ
Cats, Jakob
[没]1660.9.12. ハーグ近郊
オランダの詩人,政治家。貴族の家系に生れ,オルレアンで法律を学び,のち行政長官などをつとめた (1636~51) 。 40代になって詩作を始め,「カッツおやじ」の呼び名で民衆に親しまれた。彼の散文詩は日常生活の知恵につながる諺,逸話などを表現したもの,当時の民衆の関心をひく重要な疑問を対話形式で書いたものが多く,教訓的である。代表作『古い時代と新しい時代の鏡』 Spieghel van den ouden ende nieuwen Tijdt (32) 。
カッツ
Katz, Michael Barry
アメリカの歴史学者,教育史学者。ハーバード大学教育系大学院修了後,ヨーク大学教授などを経て,ペンシルバニア大学の歴史学,教育学教授。その研究は公教育,救護院,精神病院などを対象とした教育史,都市史,貧困と福祉の歴史に大別されるが,19世紀以降の資本主義の発展の過程において,いかに人間の社会生活が構造化,制度化されていったかという視点と,多くの資料を統計的処理によって分析する方法は共通している。
カッツ
Katz,Elihu
アメリカおよびイスラエルの社会学者。マス・コミュニケーション研究で著名。 1956年コロンビア大学で博士号取得後,同大学応用社会調査研究所,シカゴ大学などを経てエルサレムのヘブライ大学教授。 P.F.ラザースフェルドとの共著『パーソナル・インフルエンス』 (1955) がある。
カッツ
Katz, Daniel
[没]1998.2.28. ミシガン,アンアーバー
アメリカの社会心理学者。バッファロー大学,シラキュース大学で学位取得後,プリンストン大学,ブルックリン大学で教える。 1947~73年ミシガン大学教授。世論調査の研究で知られる。また職場集団の研究で特にモラールの分析方法を深めた。
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