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正書法 せいしょほうorthography

翻訳|orthography

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

正書法
せいしょほう
orthography

正字法ともいう。規範として社会で認められている単語の綴り方 (日本ではかなづかい ) ,またはその体系をいう。たとえば,英語で「夜」は nightと綴るのが正しく,niteは正しくないとされるが,このように正しいとされる綴り方が正書法である。正しいというのは社会で承認されていることであり,合理的かどうか,話し言葉に忠実かどうかとは無関係である。英語では,同じ綴りがいくつかの異なる音を表わしたり,同じ音が異なる綴りで表わされていたりする。日本の現代かなづかいのように正書法を改革する場合や,トルコのように文字を取替えたり,初めて文字を採用したりする場合には,その言語の構造に適合した,できるだけ一定の原理に貫かれた正書法が望ましく,そのために音韻論,文法論の成果が助けになる。

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デジタル大辞泉の解説

せいしょ‐ほう〔‐ハフ〕【正書法】

単語の正しい表記のしかた。また、一言語の正しい表記のしかたの体系。正字法

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百科事典マイペディアの解説

正書法【せいしょほう】

正字法とも。言語ごとに社会的規範として認められている書き表し方,またその体系。英語の綴(つづり)字や日本語の仮名遣いなどであるが,必ずしも発音と表記法が1対1の対応をなしているとは限らない。

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世界大百科事典 第2版の解説

せいしょほう【正書法】

語の正しい書き方,またはある言語を書き表す正しい書き方の体系。正字法ともいう。ここで〈正しい〉とは,〈社会的に規範として認められている〉の意味である。オーソグラフィーorthographyの訳語で,orthographyは,ギリシア語のortho(正しい)+graphia(書き方)に由来する。欧米では主として正しいつづり字法・綴字(てつじ∥ていじ)法(スペリング)のことをいう。日本では,〈正字法〉から憶測して漢字の一点一画の正しい書き方と考える人もいるが,それは適当ではない。

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大辞林 第三版の解説

せいしょほう【正書法】

社会的に規範として認められている、語の正しい書き表し方。また、一つの言語を書き表す標準的な表記法の体系。日本語では語を仮名で書き表す場合についての現代仮名遣い、漢字と仮名を混ぜて書き表す場合についての送り仮名の付け方などの決まりがある。正字法。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

正書法
せいしょほう

orthographyの訳語。正字法ともいう。語の正しい書き表し方、つまり音声言語を文字言語にうつしかえるための、社会的規範として認定されている決まりをいう。「おおい(多い)」と「おうい(王位)」のように、同音の語を二様に書き分けるのは音韻論では無意味であるが、現代仮名遣いという社会的規範によって標準と定められている。英語でも、knight[nait]は音韻と対応するつづり字(スペリング)ではないが、正しい書き表し方として社会的に認定されている。このように、音韻と文字との正確な対応は文字言語にうつす場合にかならずしも要らない。表音文字しかもたない言語では、ただ一つの書き表し方しかないが、日本語には文字体系として漢字、平仮名、片仮名、ローマ字の4種類があって、どの文字で語を書き表すか決まってはいない。社会的慣習として、外来語は片仮名、漢語は漢字、和語は平仮名もしくは一定の範囲内の漢字で書き表すことがかなり定着しているが、従うべき規則というものではない。規則性という点で、送り仮名のつけ方を正書法とする立場もある。ただ、文字体系を一つしかもたない言語と対比して考えると、日本語ではその文字体系ごとに書き表し方が一つに限定されていればよいということができる。その場合、漢字という文字体系は、一次的には音声言語をうつしかえることはできないから、音(音節)を表記する仮名、ローマ字の使い方こそが社会的規範を第一義的に必要とする。なかでも、仮名はローマ字に比べて、現代日本社会における重要性がはるかに高い。したがって、現実の言語生活に即していえば、現代仮名遣いが社会的規範たるべき正書法に該当することとなろう。平仮名と片仮名、仮名と漢字といった文字体系間の書き換えは、現代仮名遣いを基盤とした二次的な決まりであって、送り仮名のつけ方は、仮名・漢字変換における付帯的規則に相当すると考えられる。[沖森卓也]

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世界大百科事典内の正書法の言及

【ドイツ語】より

…ルターは聖書翻訳の際の語形など言語の外形を,当時ウィーンの皇帝庁と並んで有力であった,自己の出身地に近いザクセン地方のマイセンの官庁語に従わせるが,マイセンの官庁が存在するドイツ東中部地方の東中部ドイツ語の特徴をもったルターのドイツ語は,ドイツ西部,北ドイツの低地ドイツ語地域にも広まり,のちの統一されたドイツ文語の基礎となった(もっとも,バイエルンを中心とするカトリック地域のドイツ東南部の通用語とルターのドイツ語との言語的競合はしばらく続くことになる)。ルターは1522年以降も数回にわたって新・旧約聖書の改訂版を出すが,ルターのドイツ語は,とくに語の形態と正書法においてはいまだ規範をもたず,確固としたものではなかった。そこで16世紀以来多くの文法家たちがドイツ語の規範化に努めるが,その中でもとくに,17世紀中ごろ,ショッテルGeorg Schottelは一連のドイツ文法に関する著作において,それ以前には見られないほどに,ドイツ文法の体系化・規範化を行い,ここにドイツ語は初めて確固とした規範をもつことになった。…

【文字】より

…明治時代に行われた言文一致の運動はこのような音声言語と文字言語との間の差をちぢめようとしたものである。また,言語音とその表記法との間にずれが生ずると〈正書法orthography〉あるいは〈かなづかい〉の問題が生じ,さらに綴り字・かなづかいの改訂が要求されるようになる。この改革は大きな障害にぶつかるのが普通である。…

※「正書法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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