ロシア文字(読み)ロシアモジ

デジタル大辞泉 「ロシア文字」の意味・読み・例文・類語

ロシア‐もじ【ロシア文字】

キリル文字をもとに、ラテン文字ローマ字)に近い形に単純化合理化されて作られた文字。音素文字で、字母数33。→キリル文字

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精選版 日本国語大辞典 「ロシア文字」の意味・読み・例文・類語

ロシア‐もじ【ロシア文字】

  1. 〘 名詞 〙 広義のキリル文字の一つで、ロシア語で用いる文字体系の通称。主に教会で用いられた古いキリル文字をもとに、近代化・簡素化されて作られた。字母数三三(うち二つは記号字母)。ロシア連邦内の非スラブ系の民族やモンゴルでも手を加えて用いられている。→キリル文字

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百科事典マイペディア 「ロシア文字」の意味・わかりやすい解説

ロシア文字【ロシアもじ】

キリル文字とも。9世紀に聖人キュリロスギリシア文字小文字をもとに,スラブ語を書くのに適したグラゴール文字を作ったといわれ,その弟子の聖クレメントはギリシア文字の大文字を使ってキリル文字を考案。どちらも古代教会スラブ語の文献に用いられている。現在ロシア語のほか,主に正教(東方正教会)圏のスラブ語派の諸言語や,旧ソ連のいくつかの民族語に用いられる。
→関連項目ウイグル語キュリロスキルギス語セルビア・クロアチア語タタール語ブルガリア語ベラルーシ語マリ語文字

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改訂新版 世界大百科事典 「ロシア文字」の意味・わかりやすい解説

ロシア文字 (ロシアもじ)

ロシア語で用いる文字体系の通称で,現行のアルファベットは母音字母10,子音字母21,記号字母2の合計33字母から成る(表参照)。起源的には9世紀末ブルガリアで成立したキリル文字にさかのぼる。10世紀末キリスト教(正教)の受容とともにキエフ公国に入ったキリル文字は日用の文字体系として定着普及し,16世紀後半には金属活字による印刷もはじまったが,18世紀初頭近代化をめざすピョートル1世は,教会図書をのぞく一般書印刷の促進のために,1音1字の原則で字母数を整理するとともに,新しい字体を選んで〈民間活字〉33字母を制定した。現行のアルファベットはこの民間活字を継承発展させたもので,1918年10月にそれまでの旧正字法を部分的に改めるかたちで成立した。キリル文字は先行したグラゴール文字の多くをギリシア語の活字体大文字で代替して作られたため,現代のロシア文字でも形と音声がギリシア文字に共通するものは19個に及んでいる。同じキリル文字の伝統を継承するウクライナベラルーシは当然として,ほかにも旧ソ連領内の約50の民族語がロシア文字に基づくアルファベットを使用している。国外ではモンゴルが同様であるが(1980年代末からモンゴル文字復活がみられる),古来正教圏のブルガリア,セルビアマケドニアの文字体系との類似は同じキリル文字に発するためで,ロシア文字の直接の影響によるものではない。
キリル文字 →ロシア語
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロシア文字」の意味・わかりやすい解説

ロシア文字
ろしあもじ
Русское письмо/Russkoe pis'mo ロシア語
Russian writing 英語

ロシア文字は33の字母からなる。スラブ語本来の文字としては、9世紀にギリシア文字の小文字等を基礎として成立したグラゴル文字と、9世紀末ごろにギリシア文字の大文字等を基礎として成立したキリル文字の2種が存在していた。ロシア文字は後者のキリル文字に由来し、歴史的に幾度かの文字改革を経て今日の形態をとるに至ったものであるが、現在では、ロシア連邦地域内の多数の非スラブ人の言語やモンゴル語の文字としても使用されるようになっている。

[矢野通生]

『西田龍雄編『講座言語 第5巻 世界の文字』(1981・大修館書店)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロシア文字」の意味・わかりやすい解説

ロシア文字
ロシアもじ
Russian alphabet

ロシア語ならびに旧ソ連内の他の多くの言語の表記に用いられているアルファベット。さらに,ブルガリア,セルビア,モンゴル国などで用いられている文字もロシア文字と呼ぶことが多い。すべてキリル文字を母体としており,1708年のピョートル1世 (大帝) の文字改革で整えられた字体に基づく。言語ごとにそれぞれ多少の修正を施して用いている。

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