日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンガルーネズミ」の意味・わかりやすい解説
カンガルーネズミ
かんがるーねずみ
kangaroo rat
哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目ポケットネズミ科カンガルーネズミ属に含まれる動物の総称。この属Dipodomysの仲間は、カナダ南西部からメキシコまで北アメリカ西部の乾燥したステップ、砂漠や荒れ地のやぶや草地に生息する。21種ほどあり、種類によって体色や大きさが異なる。頭胴長9~17センチメートル、尾長12~22センチメートル、体重30~180グラム。前足は小さいが、後ろ足は大きく5指あるいは4指。尾は体より長く、先端に房状の毛が生えている。目、耳はよく発達しており、口の両側に頬(ほお)袋があって、ここに餌(えさ)を詰めて運ぶ。体色は、背面が黄色から暗褐色まで変化に富み、下面は白色。頬から尾の先までの体側には白帯がある。夜行性で、草木の種子、果実、葉や茎などのほか、ときには昆虫も食べる。水は飲まず、食物に含まれる水分を利用する。地下に複雑なトンネルを掘り、数個の巣室や餌の貯蔵庫をつくる。冬眠はせず、冬の食物不足に備えて、直径25センチメートルの貯蔵庫に6キログラムもの餌をためた例が知られている。地上では、カンガルーのように尾で体のバランスをとり、跳躍しながら行動する。繁殖は春から秋にかけて1~3回行う。妊娠期間は29~33日。1産に1~6子を産む。子は4、5週で離乳し、2か月ほどで成熟する。
[土屋公幸]