翻訳|Kansas
アメリカ合衆国中央部の州。面積21万3063平方キロメートル、人口268万8418(2000)。州都トピーカ。北はネブラスカ州、東はミズーリ州、南はオクラホマ州、西はコロラド州に接する。ほぼ長方形をなし、西側の3分の2はグレート・プレーンズが広がり、東部には中央低地が広がる。北西部(標高約1200メートル)から南東部(約200メートル)に向かって緩やかに傾斜し、主要河川のアーカンザス川、カンザス川が東流する。気候は湿潤大陸性で、しばしばトルネード(大規模な竜巻)が発生する暑い夏に対して、冬は寒冷でブリザード(極寒・降雪を伴う強風)も多い。
最大都市ウィチタをはじめとしてトピーカ、カンザス・シティなどの主要都市は、東半分に集中する。肥沃(ひよく)な土地に恵まれ、小麦の生産高は全米第1位で、「合衆国のパン籠(かご)」の異名をもつほか、トウモロコシ、干し草の生産や、ウシ、ブタなどの畜産業も盛んである。石油、天然ガス、ヘリウムなどの産地としても重要視されている。農業と並んで重要な地位を占める工業は多様を極めるが、輸送機器、化学製品がその中心をなす。全米の50%以上の占有率を誇るウィチタの航空機をはじめ、鉄道車両、タイヤ、食品加工、印刷・出版の産業が盛んである。
16世紀中ごろにスペイン人の探検隊が入り、フランスの支配を経て、1803年のルイジアナ購入によって合衆国領となった。しかし白人の本格的な入植は21年毛皮商人のシュトーらによって行われ、54年のカンザス・ネブラスカ法制定による混乱を経て、61年34番目に自由州として連邦に加わった。以後、合衆国の大農業地帯として発展したが、第二次世界大戦中には工業が急速に成長し、現在では工業収入が農業収入を上回るほどになった。教育にも力を入れており、カンザス大学、カンザス州立大学、ウィチタ州立大学、トピーカ大学などがその中心をなす。第34代大統領アイゼンハワーが若いころ過ごしたアビリーンには、図書館、博物館、住んだ家など彼にちなんだ建物を集めたD・アイゼンハワー・センターがある。
[作野和世]
アメリカ合衆国中央部の州。略称Kans.,Kan.。連邦加入1861年,34番目。面積21万3063km2,人口285万3118(2010)。州都はトピーカ,最大都市ウィチタ。1803年のルイジアナ購入の結果合衆国領となった。州名は,カンザス・インディアンの族名(南の風の意)からとられた。本土48州のほぼ中心に位置し,地形は平たんであるが西の方が高い。湿潤温暖気候がステップ気候へ変わろうとするところで,特に冬小麦の栽培が盛んに行われ,小麦の収穫量は全米1位(1980)である。連邦加入直前の1850年代,奴隷州か自由州かをめぐって内戦を経験し〈流血のカンザス〉と呼ばれたカンザスも,南北戦争後の60,70年代には牛の集散地として全国的に有名となる。東部と鉄道で結ばれたアビリーンやダッジ・シティを目ざして,テキサスから大量の牛がカウボーイによってもたらされた。バット・マスターソン,ワイアット・アープらの活躍したダッジ・シティには,現在,当時の町並みが再現されている。80,90年代のファーマーズ・アライアンスなどの農民運動,ポピュリスト党の活躍にみられるように農牧業中心のカンザスも,20世紀初めの石油,天然ガスの採掘とともに鉱工業が発達し始める。とくにウィチタの航空機産業は第2次大戦前から発展し,今日でも民間飛行機生産の中心となっている。ピューリタニズムの影響が強く,1880年から1948年まで禁酒法が施行され,現在も日曜・祭日に酒類を購入することはできない。州歌は《峠のわが家Home on the Range》である。
執筆者:正井 泰夫+岡田 泰男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
働き手が自分の働きたい時間に合わせて短時間・単発の仕事に就くこと。「スポットワーク」とも呼ばれる。単発の仕事を請け負う働き方「ギグワーク」のうち、雇用契約を結んで働く形態を指す場合が多い。働き手と企...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新