キハダ(海水魚)(読み)きはだ(英語表記)yellowfin tuna

翻訳|yellowfin tuna

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キハダ(海水魚)」の意味・わかりやすい解説

キハダ(海水魚)
きはだ / 黄肌鮪
yellowfin tuna
[学] Thunnus albacares

硬骨魚綱スズキ目サバ科に属する海水魚。体長1.8メートルに達する。第2背びれと臀(しり)びれが著しく伸長するのが特徴。これらのひれや第2背びれの後方にある離鰭(りき)が鮮やかな黄色であり、キハダの名称は、ひれは古語ハタといったことに由来する。体の背部は濃青色、側面は黄金色、腹面は銀白色を呈し、体側に淡色横縞(よこじま)状の斑紋(はんもん)がある。第2背びれや臀びれは若魚期には短く、成長に伴い伸長する。若年魚はキメジとよばれる。キハダマグロキワダ(またはキワダマグロ)は別称。ほかに、伸長したひれに由来するイトシビの名もある。

 熱帯性のマグロであり、太平洋、大西洋インド洋の赤道海域を中心とした熱帯、亜熱帯域にわたり広く分布する。暖流の影響のあるところでは、夏季に日本の東北沿海やオーストラリア南東部など温帯域にも回遊する。産卵が行われるのは水温24℃以上の水域であり、幼魚期、若年期には島嶼(とうしょ)や陸岸に近接した水域に生息し、表層を群れをつくって遊泳するが、成長に伴い沖合いに分布域を広げ、中層を遊泳するようになる。表層を浮遊する木材など漂流物付随遊泳する性質があり、木つき群とよばれる。表層遊泳群は竿(さお)釣りや巻網によって漁獲され、中層を遊泳する魚は延縄(はえなわ)漁業の対象となる。マグロ類のなかでキハダはもっとも漁獲量が多い。欧米諸国では缶詰として利用されているが、日本では鮮魚としての消費が多い。

[上柳昭治]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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