フランシスコ会(読み)ふらんしすこかい(英語表記)Ordo Fratrum Minorum ラテン語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フランシスコ会」の意味・わかりやすい解説

フランシスコ会
ふらんしすこかい
Ordo Fratrum Minorum ラテン語
Order of Friars Minor 英語

1209年、アッシジフランチェスコによって創立された修道会。正式の名称は「小さき兄弟会」。当初はフランチェスコのもとに集まった11人の同志によって発足したが、この会の基本理念は、貧しいキリストの生涯を手本に、その福音(ふくいん)を使徒と同様に忠実に生き、ローマ教皇従順を誓って、人々に神への回心を説くことにある。とくに貧しいキリストの生き方に倣って、会として個人としていっさいの所有権を放棄し、極貧のうちに手仕事で生計をたて、足りないところを人々の施与に頼ったところから、「托鉢(たくはつ)修道会」ともよばれる。粗衣に甘んじ、金銭を受け取らず、市井に小さな修道院を構え、諸国を行脚(あんぎゃ)しながら福音を伝えた。また、非キリスト教徒への伝道にも力を注いだ。

 フランチェスコの死後、会員数は1世紀間に3万を超えた。13世紀なかばに司祭修道会としての性格を強く打ち出すと同時に、学問の分野でもボローニャパドバアントニオ、パリでボナベントゥラ学者輩出オックスフォードではロバート・グロステートやロジャー・ベーコン、ドゥンス・スコトゥス、ウィリアム・オッカムなどが出て、イギリス経験主義哲学の基礎を築いた。その後、会自体の刷新を図って多数の改革派が誕生したが、これらは「小さき兄弟会」「同コンベンツァル会」「同カプチン会」の三派に大別される。宗教改革時にも5万余の会員を数え、18世紀なかばには13万を超えた。1593年(文禄2)にはペドロ・バプチスタがわが国にも来朝、17世紀なかばまでに六十余名が伝道に従事し、そのほぼ半数が殉教(じゅんきょう)した。

 1986年現在の会員数は、第一会の場合、「小さき兄弟会」が2万0094、「同コンベンツァル会」が4091、「同カプチン会」が1万1879を数え、第二会の「クララ会」が1万6780、第三会の「律修会」は約1000、「同修道女会」は17万7000、「在世会」は220万となっている。なお日本でも、第一会が三派合同して約300人が活動している。

[石井健吾]

『石井健吾著『フランシスカニズムの系譜』(1979・中央出版社・フランシスコ会叢書)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android