クールジャパン機構(読み)くーるじゃぱんきこう

共同通信ニュース用語解説 「クールジャパン機構」の解説

クールジャパン機構

世界的に人気の高い日本のアニメファッション、食などを海外に売り込むために官民出資し、2013年11月に設立された。正式な社名は「株式会社海外需要開拓支援機構」。17年4月時点の出資金は約693億円で、約8割を国が出資する。政府は日本ブランドの海外展開を成長戦略の一つと位置付けており、民間だけで事業が十分に実施できない分野を支援する。中央省庁出身者も幹部に加わっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クールジャパン機構」の意味・わかりやすい解説

クールジャパン機構
くーるじゃぱんきこう

アニメーション、ファッション、食、伝統工芸品など日本文化を生かした産業の海外市場開拓を支援する官民ファンド。株式会社海外需要開拓支援機構法(平成25年法律第51号、通称クールジャパン法)に基づき2013年(平成25)11月に発足。日本のテレビ番組の輸出、アニメーションの海外配信、アジアでの日本専門店出店、外食の中東輸出などのプロジェクトを進めたが、ほとんどの計画が苦戦会計検査院の調査(2017年度末)では投資を回収できていない損失状態に陥っている。このため政府は2018年秋に発足する官民ファンド産業革新投資機構との統合集約を検討している。

 地方企業やベンチャー企業にとって海外市場開拓はリスクが大きいため、安倍晋三(あべしんぞう)政権の成長戦略に沿って、公的資金を活用して日本独自ソフトやコンテンツを海外へ売り込む目的で発足した。登記社名は株式会社海外需要開拓支援機構。英語名はCool Japan Fund Inc.。本社は東京都港区六本木。出資金は官民あわせて693億円(2018年3月末時点)で、政府出資(財政投融資)が8割強を占め、残りをANAホールディングス、三越伊勢丹(みつこしいせたん)ホールディングス、JTBなど民間企業23社が出資。初代社長が元松屋常務執行役員の太田伸之(おおたのぶゆき)(1953― )、2代目社長は元ソニー・ミュージックエンタテインメント最高経営責任者(CEO)の北川直樹(きたがわなおき)(1953― )。会計検査院の投資損益調査(2017年3月末時点)では投融資が17件、合計310億円あるが、過半が計画通り収益を確保できておらず、回収額と保有株評価額の合計が投融資額を下回って約44億円の損失状態であった。アニメーションの海外配信事業やマレーシアの日本専門店経営からは撤退した。このためクールジャパン機構の設置期間はおおむね20年間であるが、産業革新投資機構を軸にした官民ファンドの集約計画で統廃合の候補にあがっている。

[矢野 武 2018年12月13日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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