会計検査院(読み)カイケイケンサイン

デジタル大辞泉 「会計検査院」の意味・読み・例文・類語

かいけいけんさ‐いん〔クワイケイケンサヰン〕【会計検査院】

国の収入・支出の決算の検査を行い、その他、法律に定める会計の検査を行う行政機関。三人の検査官で構成する検査官会議と事務総局から成り、内閣に対し独立の地位を有する。

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共同通信ニュース用語解説 「会計検査院」の解説

会計検査院

内閣や国会、裁判所から独立した地位で、国の財政をチェックする憲法上の機関中央省庁や国が出資する法人、財政援助している地方自治体などの会計を調べ、毎年秋に決算検査報告首相に提出している。法令違反や不適切な予算執行を指摘し、税金が有効に活用されるよう是正や改善を要求できる。東京五輪・パラリンピックに関する検査は国会の要請に基づくもので、今回の報告は2018年10月、19年12月に続き3回目。大会組織委員会や地方公共団体国庫補助金などの交付を受けずに実施した事業は検査対象外となっている。

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精選版 日本国語大辞典 「会計検査院」の意味・読み・例文・類語

かいけい‐けんさいんクヮイケイケンサヰン【会計検査院】

  1. 〘 名詞 〙 国、公団公社の決算の検査を主要な任務とする行政機関。憲法第九〇条に基づく必置の機関で、内閣に対して独立の地位を保障されている。三人の検査官およびその事務総局で構成される。

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改訂新版 世界大百科事典 「会計検査院」の意味・わかりやすい解説

会計検査院 (かいけいけんさいん)

国の会計検査を行う憲法上の機関。日本国憲法90条では,〈国の収入支出の決算は,すべて毎年会計検査院がこれを検査し,内閣は,次の年度に,その検査報告とともに,これを国会に提出しなければならない。会計検査院の組織および権限は,法律でこれを定める〉とされている。国の会計の監督・監査も,実質的な意味においては行政作用一環であるが,憲法はこれを内閣から独立の地位を有する会計検査院という特別の機関にゆだねるとともに,国会の関与も認めている。会計検査院は1889年以来の歴史をもつが,現在の会計検査院法(1947公布)によれば3人の検査官をもって構成する検査官会議と事務総局をもって組織することとされている。検査院長は検査官のうちから互選した者について内閣が任命する。検査官は両議院の同意を得て内閣が任命することとされ,任期は7年であり,原則としてその意に反して罷免されることがない。事務総局には事務総長1人,事務総局次長1人,官房および第1局~第5局が置かれている。会計検査院の法律上の任務権限は,国の収入支出の決算について会計検査を行い,会計経理を監督し,その適正を期し,かつ是正を図るとともに,検査の結果により決算を確認することである。なお,法律で,必要的検査事項と任意的検査事項,検査の方法,検査報告事項等も定められている。1997年度末定員1246人。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「会計検査院」の意味・わかりやすい解説

会計検査院
かいけいけんさいん

国家財政の執行を監視し検査する国家機関。会計検査の歴史は古く,たとえばアリストテレスの『政治学』にも当時のポリスの会計検査制度に関する叙述がみられる。日本の会計検査院に関する憲法上の規定は第 90条にあり,その組織および権限については会計検査院法 (昭和 22年法律 73号) で定められている。明治憲法下では天皇の直属機関であったが,現在は3人の検査官をもって組織する検査官会議と事務総局から成る独立機関として,内閣から独立した地位を有している。検査官会議は決算を検査し,検査報告書を内閣を通じて国会に提出する。会計検査院の独立を保障するため,現行法では検査官の身分は保障され,院に関する自主立法権 (規則制定権) ,検査院予算に関する意見陳述権,国会における報告書の説明権を認めている。また,国の会計事務職員および物品管理職員の国に対する弁償責任を決定するために,会計検査院が行う処分を検定という。会計検査院は,国の予算執行職員が,故意または重大な過失により法令などに違反して支出などの行為をしたとき,国の出納職員が善良な管理者の注意を怠って現金を亡失したとき,および国の物品管理職員が故意または重大な過失により物品管理法の規定に違反して物品の管理行為をしたことまたは同法の規定に従った物品の管理行為をしなかったことにより物品を亡失し,または損傷し,その他国に損害を与えたときは,これにより国に損害を与えた事実があるかどうかを審理し,その弁償責任の有無を検定する (会計検査院法 32) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「会計検査院」の意味・わかりやすい解説

会計検査院
かいけいけんさいん

日本国憲法第90条の規定による、国の財政の執行を監視し検査することを任務とする行政機関。通例の行政機関と異なり、内閣に対し独立の地位をもつ(会計検査院法1条)。会計検査院は、両議院の同意を得て内閣が任命する任期7年の3名の検査官により構成される検査官会議と、検査を行う事務総局で組織され、その長は、検査官のうちから互選された者が内閣によって任命される。検査官は、会計検査院法の定める退官事由に該当する場合を除いて、その身分が保障されている。会計検査院は、国の収入・支出の決算の検査を主要な任務とするほか、法律の定める会計の検査を行う。たとえば国のみならず政府関係機関等の会計の適正を期すため、常時、会計検査を行い、違法不当な経理を発見した場合には、その是正を要求する権限をもつ。場合によっては、担当職員の懲戒処分を求めたり、出納職員および予算執行職員の弁償責任について審査判定を行う権限をもつ。また、国などの会計事務を処理する職員の会計経理の取扱いに関し、利害関係人の審査の要求に基づいて、これを審査し適切な処置をする権限ももつ。なお、会計検査院が決算を不適法と判定しても、予算執行行為が無効ないし取り消されることにはならないと解されている。

[福家俊朗]

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百科事典マイペディア 「会計検査院」の意味・わかりやすい解説

会計検査院【かいけいけんさいん】

国の収支の決算報告を政府が国会に提出する前に検査することを任務とする。行政機関だが内閣の管理外にある独立機関(憲法90条)。検査官会議(3名,内閣任命で検査官の任期は7年)と事務総局がある。1880年設置,1889年より院長は天皇に直属し,国務大臣に対し独立の地位となっていた。
→関連項目行政機関決算

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