経営難に陥った企業を救済するため国が注ぎ込む資金。バブル崩壊で不良債権問題が深刻化した旧日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)など主に金融機関が注入を受けてきた。金融システムの不安定化を防ぐのが主な目的。企業が新たに発行する株式を国が税金を使って購入し、経営再建につなげる。国は世界的な不況で2010年に破綻した日本航空にも注入した。
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経営が悪化した民間金融機関や民間企業に、政府や中央銀行などが支援のために投入する財政資金(税金)をさす。金融危機や恐慌時に、ドミノ倒しのような金融機関の破綻(はたん)を避け、不況から脱却するため、公的資金の早期投入が有効とされる。ただ市場・競争原理に任せるべき企業経営を公的に支えることになるだけに、安易な投入は市場をゆがめ、モラルハザードを招くとの批判もある。公的機関が経営不安のある民間企業や民間金融機関の株式を購入する形で公的資金を注入する手法が一般的。金融機関が保有する債権や株式を買い取ったり、預金保険制度を活用して預金を保護したりする手法もある。公的資金を受けた企業は、政府による経営再建状況のチェックなど全面的に経営関与を受けることになり、経営の自由度は大幅に低下する。
バブル経済崩壊後、日本では金融システム危機を未然に防ぐため、1992年(平成4)から合計51兆円の公的資金を投入。預金者保護、金融機関の資本増強、金融機関の保有株式や債権買取りなどに使用された。このうち最低でも約10兆円は回収できずに損失となることが確定しており、最終的に国民が負担することになった。バブル崩壊後、公的資金を早期に投入し、不良債権を最終処理すべきだとの議論があったのだが、1996年、住宅金融専門会社(住専)の処理を審議した国会(住専国会)で、公的資金投入に国民的批判が高まった。このため本格投入が遅れ、1998年からの金融危機や「失われた十年」を招き、結果として公的資金の投入規模が膨らんだと指摘されている。
サブプライムローン問題を発端とする2008年(平成20)からの世界金融危機では、アメリカが金融安定化法に基づき、最大7000億ドルの公的資金枠を設け、銀行、保険会社、自動車会社などに資本注入や投融資を実施。イギリス、フランスなど多くの国が公的資金の投入を決めた。日本も、新しい金融機能強化法で金融機関向けに12兆円の公的資金枠を用意したほか、政府・日本政策投資銀行が経営の不安定な民間企業に出資する制度も設けた。
[編集部]
出典 株式公開支援専門会社(株)イーコンサルタント株式公開用語辞典について 情報
(本庄真 大和総研監査役 / 2008年)
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