グラント(読み)ぐらんと(英語表記)John Graunt

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

グラント(John Graunt)
ぐらんと
John Graunt
(1620―1674)

政治算術political arithmeticの創始者。ロンドンで小間物商を営み、毛織物商組合員の特権をもつ富裕な商人であったが、市民革命の際には議会軍の将校として活躍した。その間、W・ペティと知り合い、ベーコンの思想に共鳴する2人は、社会現象も自然現象と同様に数量的観察によって合則性を明らかにしうるものとし、相協力して社会経済の数量的研究を行うこととなった。これが政治算術であり、経済学と統計学との未分化の段階での源流をなすものである。彼の主著『死亡表に関する自然的および政治的諸観察』Natural and Political Observations Mentioned in a Following Index, and Made upon the Bills of Mortality(1662)は、当時のイギリス人口の急激な変動の諸要因を、埋葬や洗礼に関する資料を基に分析したものであるが、その手法は近代的統計的研究方法や人口学的手法の先駆をなすものとなった。この著によって彼の名声は国の内外に高まり、イギリス王立協会の会員にも推薦されたが、1666年のロンドンの大火で家産を失い、晩年は不遇であったといわれる。[木村太郎]
『久留間鮫造訳『死亡表に関する自然的および政治的諸観察』(『統計学古典選集』所収・1941・栗田書店) ▽松川七郎著『ウィリアム・ペティ』増補版(1967・岩波書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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