ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「グローブ」の解説
グローブ
Grove, Sir William Robert
[没]1896.8.1. ロンドン
イギリスの法律家,物理学者。オックスフォード大学,リンカーン法学院で学び,弁護士の免許を得た (1835) が,健康を害したこともあって科学研究に転じ,ロンドン・インスティチューションの物理学教授となる (1840~47) 。後年,再び司法界に地位を占め,高等民事裁判所判事をつとめた (71~87) りした。司法界引退後は科学研究に専念。分子内原子の熱解離を確証し,高温白金線上で水が水素と酸素に分解することを示した。 1839年水素-酸素燃料電池を発明し,これでアーク灯を点じた。 H.ヘルムホルツに先んじて自然力の相互転換を説いた『物理的諸力の相互連関について』 On the Correlation of Physical Forces (46) は有名である。 72年にナイトの称号を贈られた。
グローブ
Grove, Frederick Philip
[没]1948.8.19. オンタリオ,シムコー
イギリス系カナダの小説家。父はスウェーデン人,母はスコットランド人。ヨーロッパ各地を転々としたのち,1892年トロントへ渡り,長らく農場労働者や学校教師をしながら,自然主義的手法を用いカナダ大平原を舞台にした『沼沢地開拓者』 Settlers of the Marsh (1925) ,『日々の糧』 Our Daily Bread (28) ,『生の絆』 The Yoke of Life (30) などの小説を発表。晩年に出した『製粉場の主』 The Master of the Mill (44) は,世代の相克と近代産業社会の問題に正面から取組んだ,カナダ文学屈指の野心的な大作。自伝『自我を探究して』 In Search of Myself (46) はカナダ総督賞を受賞した。
グローブ
Grove, Sir George
[没]1900.5.28. ロンドン
イギリスの音楽学者。有名な『グローブ音楽辞典』 Dictionary of Music and Musicians (1879~89) 初版の編纂者。 1882~94年ロンドンの王立音楽院の初代院長をつとめ,82年サーの称号を授けられた。主要著書『ベートーベンと9つの交響曲』 Beethoven and His Nine Symphonies (96) 。
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