翻訳|Google
インターネット検索で知られる米国のIT大手。1998年に創業した。スマートフォンの基本ソフトや電子メール「Gメール」、地図サービス「グーグルマップ」などを手がける。アップル、メタ(旧フェイスブック)などとともに「プラットフォーマー」とも呼ばれる。取引先企業との不透明な契約など市場寡占化の弊害が懸念され、世界各国で規制や監視を強める動きが出ている。
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1998年9月7日、アメリカのカリフォルニア州で創業した、インターネット関連企業の名称、およびこの企業によって提供されるインターネットのコンテンツ検索サービス(検索エンジン)の名称。創業者はアメリカのスタンフォード大学の学生であったラリー・ペイジLarry Page(1973― )とサーゲイ(セルゲイ)・ブリンSergey Brin(1973― )の2人で、2008年8月時点の最高経営責任者(CED)はエリック・シュミットEric Schmidt(1955― )である。社名であるGoogleの由来は数字の単位であるgoogol(グーゴル)から転じたもので、1グーゴルは10の100乗の意味である。2000年(平成12)9月に日本語版の検索サービス開始。
グーグルは人類が扱う情報のすべてを検索可能にするということを理念として掲げている。インターネット上のコンテンツを検索できるようにしたことに続き、地球上の地図や衛星写真を検索できるようにしたGoogle Map(グーグル・マップ)やGoogle Earth(グーグル・アース)などのサービスも提供している。
グーグルの検索の特徴は地球上の言語のほとんどすべての言語で検索できること、そして検索結果は多くの人の評価が高いと思われるコンテンツから上位に検索されるところにある。具体的な評価関数は公開されていないが、検索結果が上位に表示されるほど検索結果のクリック率なども高くなる。検索結果の表示順位はPageRank(ページランク)(リンク構造を解析することで、ウェブページのリンクの量や質などを判断する評価システム)によって判定され決められる。
また、グーグルは各種の検索サービスを無償で利用者に提供するとともに、検索結果の表示ページに検索キーワードと連動した広告を表示する検索キーワード連動型広告サービスGoogle AdWords(グーグル・アドワーズ)を提供する。この広告掲載料がグーグルのおもな事業収入となっている。検索キーワード連動型広告は情報を探している消費者の関心にあった広告が提供できること、また広告掲載料は安価で、広告がクリックされて初めて課金されるといういわゆる成果報酬型広告モデルであったことから、大規模なポータルサイトやニュースメディアに広告を出せないような小規模事業者でも効率のよい広告活動ができるということから注目を集めた。
このようなことから、コンテンツの提供側はGoogleで上位に掲載されること、そして広告がクリックされることを目ざした最適化(オプティマイゼーション)をくふうするようになった。この最適化はSEO(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)とよばれ、インターネットのマーケティング上で必須とされるテクニックになっている。
なお、前記の広告掲載サービスGoogle AdWordsのほか、サイトを運営する個人や企業に対してサイトの内容と関連する広告を配信するGoogle AdSense(グーグル・アドセンス)という広告配信サービスも行っている。サイト運営サイドはWeb広告のクリック数などの実績に合わせた収益を得ることができる。
さらにグーグルは、YouTube(ユーチューブ)という動画投稿サイト、Gmail(ジーメール)というメールサービスなど、ウェブ上で使用するサービス(機能)を提供しており、いわゆるWeb2.0とよばれるインターネット中心のコンピュータ環境を提供するフラッグシップカンパニー(旗艦企業)となっている。2008年9月にはInternet Explorer(インターネット・エクスプローラー)、Firefox(ファイアフォックス)といったウェブブラウザに対抗するGoogle Chrome(グーグルクローム)のβ(ベータ)版を発表した。また、技術力や事業内容だけでなく、ユニークな経営手法も話題になる企業である。
一方で、個人単位でのウェブの閲覧履歴、メールの内容など、情報がグーグルのサーバーに集中していることを危惧(きぐ)する人も増えてきた。これは個人情報が漏洩(ろうえい)した場合に非常に大きな影響があるということ、そして万が一グーグルの経営が行き詰まった場合などに莫大な情報がどう扱われるのかなどということである。また、競合が存在せず、市場に対する影響力が強大になったこともその理由といえる。
[中島由弘]
『嶋田淑之・中村元一著『Google――なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか』(2004・毎日コミュニケーションズ)』▽『ジョン・バッテル著、中谷和男訳『ザ・サーチ――グーグルが世界を変えた』(2005・日経BP社、日経BP出版センター発売)』▽『デビッド・ヴァイス、マーク・マルシード著、田村理香訳『Google誕生――ガレージで生まれたサーチ・モンスター』(2006・イースト・プレス)』▽『水野貴明著『Googleのすべてがわかる本』(2007・ソーテック社)』▽『西田圭介著『Googleを支える技術――巨大システムの内側の世界』(2008・技術評論社)』▽『小川浩・林信行著『アップルとグーグル――日本に迫るネット革命の覇者』(2008・インプレスR&D、インプレスコミュニケーションズ発売)』▽『押切孝雄著『グーグル・マーケティング!』(2008・技術評論社)』▽『ランダル・ストロス著、吉田晋治訳『プラネット・グーグル』(2008・日本放送出版協会)』▽『佐々木俊尚著『グーグルGoogle――既存のビジネスを破壊する』(文春新書)』▽『森健著『グーグル・アマゾン化する社会』(光文社新書)』
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