化学辞典 第2版 「ケトグルタル酸」の解説
ケトグルタル酸
ケトグルタルサン
ketoglutaric acid
2-oxopentanedioic acid.2-oxoglutaric acid.C5H6O5(146.10).HOOCCH2CH2COCOOH.2-ケトグルタル酸,α-ケトグルタル酸ともいう.オキサロコハク酸エチルの塩酸による加水分解,および脱炭酸によって得られる.また,α-ケトグルタル酸発酵によって糖類,とくにグルコースから50~60% の収率で得られる.無色の結晶.融点113 ℃.水,酢酸エチル,エーテルに可溶.α-ケトグルタル酸は,生物の代謝反応における重要な物質である.トリカルボン酸サイクルの中間体で,イソクエン酸の脱炭酸および脱水素によって生じ(イソシトラートデヒドロゲナーゼ),α-ケトグルタラートデヒドロゲナーゼ複合体によってスクシニルCoAを生じる.また,下式の反応によってグルタミン酸を生じる.
(1)の反応は非酵素的に進行し,(2)の反応はグルタミン酸脱水素酵素によって触媒される.また,アミノ基転位反応において転位アミノ基の受容体となる.たとえば,
この反応は,L-グルタミン酸アスパラギン酸トランスアミナーゼによって触媒されるが,同酵素はビタミンB群のピリドキサルリン酸を補酵素とする.[CAS 328-50-7]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報