コガシラミズムシ(その他表記)Peltodytes intermedius

改訂新版 世界大百科事典 「コガシラミズムシ」の意味・わかりやすい解説

コガシラミズムシ
Peltodytes intermedius

甲虫目コガシラミズムシ科の昆虫。からだは黄色から黄褐色光沢があり,胸部背面の後縁,上翅の斑紋や会合縁は暗色または黒色頭部は小さいが眼は大きい。胸部背面の後縁に1対の凹みがあり,上翅には大点刻列がある。体長3.5mm内外。北海道~九州まで分布し,池や沼,水田などに生息する。成虫水面へ上昇して空気呼吸を行い,藻類を食べて生活する。夏季,灯火に飛来する。幼虫は著しく細長い糸状のとげを各体節の背面と側面に有する。成虫と同様に藻類を食するが,呼吸に水中の酸素を用いることができる。幼虫の成長したものは体長約7mm。手を触れるとからだを強く腹方へ曲げてハリモグラのように球形となる。水からはい上がり土中で蛹化(ようか)する。コガシラミズムシ科Haliplidae(英名crawling water beetle,alga beetle)は世界から約200種,日本から約10種知られるが,いずれも水生で,からだは小さい。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コガシラミズムシ」の意味・わかりやすい解説

コガシラミズムシ
Haliplidae; crawling water beetle

鞘翅目コガシラミズムシ科の昆虫の総称。小型の水生甲虫で,体長 3mm内外のものが多い。ゲンゴロウに似たからだつきで後肢基節は上翅に達し,また触角は全節が微毛におおわれているが,後肢基節の後縁が著しく広がって板状になり,基部の2~3腹節をおおっているのでゲンゴロウと区別できる。池や沼などの止水にすみ,成虫,幼虫ともに藻類を食べる。コガシラミズムシ Peltodytes intermediusは体長 3.5mm内外,体は黄褐色で黒色の斑紋や点刻があり,光沢がある。頭部は小さく,上翅先端はとがる。後肢基節板の後縁は鋭い歯になって突出しているので他種から区別される。日本全土に産し,平地の池や水田に普通にみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コガシラミズムシ」の意味・わかりやすい解説

コガシラミズムシ
こがしらみずむし / 小頭水虫
[学] Peltodytes intermedius

昆虫綱甲虫目コガシラミズムシ科に属する水生昆虫。日本各地に分布し、おもに平地にみられる。体長3~3.7ミリメートル。短い卵形で黄色く光沢があり、前胸後方の両側に黒いくぼみがあり、上ばねは各10行の黒い点刻がある。触角は細く短く、肢(あし)も細い。池沼河川にすみ、夏は灯火によく集まる。

 コガシラミズムシ科Haliplidaeは、世界各地に分布し、約200種が知られている。日本産は約10種で、ヒメコガシラミズムシ属Haliplusの種が大部分を占める。水中の水草や石の下にすむが近年は少なくなった。

[中根猛彦]

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