コペンハーゲン解釈(読み)コペンハーゲンかいしゃく

大辞林 第三版の解説

コペンハーゲンかいしゃく【コペンハーゲン解釈】

量子力学の解釈において、「粒子 - 波動」の二重性を物質の根本的性格として承認する立場。実在論や決定論と対立する。コペンハーゲンのボーア研究所を中心にして展開された。

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知恵蔵の解説

コペンハーゲン解釈

量子力学に対する新旧2つの代表的な考え方。コペンハーゲン解釈は、N.ボーアやW.ハイゼンベルクらの立場に沿うもので、正統派解釈とされる。この見方では、量子世界の物理状態は重ね合わさり、波を形づくっているが、観測された瞬間に波はしぼみ、1つの状態に落ち着く(波束の収縮)。どの状態が観測されるかは、波の振幅をもとに確率論的に予想できる。収縮の原因として、測定する側(環境)が測定される側に乱れを起こすことなどが考えられている。多世界解釈は、観測者の世界が枝分かれするとみる立場。1957年、H.エバレットが提案した。AとB、2つの状態の重ね合わせを観測すると、観測者はAを見た分身とBを見た分身に分かれる、と考える。異端視されてきたが、近年、量子情報科学の進展で注目されている。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

コペンハーゲン解釈
コペンハーゲンかいしゃく
Copenhagen interpretation

理論物理学者ニールス・ボーア相補性と,ウェルナー・K.ハイゼンベルク不確定性原理をもとに展開された,量子力学についての考え方。1920~30年頃の量子力学の揺籃期,研究の一つの中心地はボーアがいたデンマークのコペンハーゲンにある理論物理学研究所であり,多くの物理学者がそこに集まって議論した。コペンハーゲン解釈は,量子力学というだれも経験したことのない新しい理論形式をいかに取り扱うかという問題に,一つの解答を与えた。古典物理学が厳密な因果律に基づいていたのに対して,将来のことを正確に知るのは原理的に不可能であり,未来(結果)は確率的にのみ予言できるとした。また,量子力学を実際に応用するうえでの実用的な考え方として効果を発揮した。アルバート・アインシュタインなどが批判したが(→EPRパラドックス),ボーアは巧みな弁舌で批判をかわし,コペンハーゲン解釈は量子論の正統的な解釈として認められるようになった。しかし,量子力学の理論にマクロとミクロの二重構造を持ち込んだことなど,曖昧な点もある。量子論の解釈問題が解決したわけではなく,その後も多世界解釈などさまざまな解釈が提唱されている。

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世界大百科事典内のコペンハーゲン解釈の言及

【ソルベー会議】より

… 第1回会議のテーマとして量子論が取り上げられたことにもみられるように,ソルベー会議は量子論および量子力学の形成と発展に多大の役割を果たした。とくに27年,〈電子と光子〉をテーマに開かれた第5回会議では,N.ボーアとアインシュタインとの間で,物理学理論の本質をめぐって激しい論争が展開されたが,結局,量子力学に対しては,ボーアらによる確率論的な解釈(コペンハーゲン解釈と呼ばれる)が妥当性を有することが承認されるに至った。第2次大戦後も,会議のテーマとして,ミクロな領域を対象とする原子核・素粒子物理学から,マクロな領域を対象とする宇宙物理学に至るまで,会議開催時点で最も先端的な話題が選ばれ討議され,物理学の発展に寄与している。…

【プランク】より

…しかし,当のプランクはその後この画期的仮説を古典物理学の枠内で解釈しようとし,アインシュタインの特殊相対性理論の重要性を即座に認めたものの,エネルギー要素の本質的な意味を明らかにした光量子仮説に対しては疑いの目を向けた。また,マッハの実証主義的傾向に対しては実在の存在を認める立場から批判し,量子力学の正当な〈コペンハーゲン解釈〉も決定論の立場から拒否した。 1912年プロイセン科学アカデミー常任理事,13‐14年ベルリン大学学長,30‐37年カイザー・ウィルヘルム協会(のちのマックス・プランク協会)会長職を務めるなど,ドイツ科学の興隆のため中心的存在として活躍した。…

【ボーア】より

…ついで27年ボーアは,ミクロな世界では粒子性と波動性とが相補って正しい自然の姿を与えるという相補性の考え方を発表し,新しい時空記述の基本的なアイデアを示した。今日〈コペンハーゲン解釈〉として広く承認されているものである。その後,36年原子核反応についての複合核モデルを発表,39年には液滴模型に基づいて核分裂のメカニズムを説明,多くの成果をあげた。…

※「コペンハーゲン解釈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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