量子力学の解釈に関してN.ボーアが用いた考え方。古典力学では例えば電子はその位置と運動量によって状態が決まる。しかし,量子力学では不確定性原理により両者が同時に正確な値をとることができない。一方の正確な知識は他方がまったく不確定という結果となる。このようにある物事が互いに干渉し合う二つの量によって記述されるとき,これらの量は互いに相補的であるという。粒子の位置座標と,それに共役な運動量とは互いに相補的である。また時間とエネルギーとは互いに相補的であるといえる。測定時間が短ければ,それに反比例してエネルギーの不確定が大きくなるからである。電子あるいは光の粒子性と波動性も互いに相補的な概念といえよう。相補性とは互いに相反する二つの立場から物事を見るということであるが,その物理的な内容は不確定性原理で尽くされており,したがって現在では物理学においては相補性という言葉を用いることは少ない。
→不確定性原理
執筆者:宮沢 弘成
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(1)2本のDNA鎖が互いに塩基対を形成し,2本鎖となりえる関係.
(2)二つの分子が非共有結合で結びつくときの接触面の凹凸が,互いにピッタリと適合すること.
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…この間,1918年ボーアは量子論と古典論とは極限において一致し,両者には形式上の対応があるとする対応原理を提起したが,W.K.ハイゼンベルクはこの原理をもとに,マトリックス力学という形式の量子力学を完成した。ついで27年ボーアは,ミクロな世界では粒子性と波動性とが相補って正しい自然の姿を与えるという相補性の考え方を発表し,新しい時空記述の基本的なアイデアを示した。今日〈コペンハーゲン解釈〉として広く承認されているものである。…
※「相補性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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