日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
コンスタンティウス(1世)
こんすたんてぃうす
Flavius Valerius Constantius Ⅰ
(250ころ―306)
ローマ皇帝(在位293~305副帝、305~306正帝)。コンスタンティウス・クロルスともよばれる。イリリクムの低い身分の出。遅くとも289年には内縁の妻ヘレナ(コンスタンティヌス大帝の生母)と離縁し、西の正帝マクシミアヌスの義娘と結婚。293年ディオクレティアヌス帝により西の副帝に任じられた。ブリタニアにたった簒奪(さんだつ)帝カラウシウスCarausiusからブローニュを奪回(293)、296年ブリタニアに渡り、カラウシウスにとってかわっていたアレクトゥスAllectusをハンプシャーで倒した。298年アラマン人の侵入をラングルで撃退。305年西の正帝となるが、翌年ピクト人に対する勝利ののち死去。有能な武将にして温情ある為政者で、大迫害下のキリスト教に対しても寛容であった。
[後藤篤子]