コーチング(読み)こーちんぐ

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

コーチング

必要とするスキルや知識の学習能力を高める育成方法論。人間は自己実現に向かって、主体的に、能動的に行動するという人間観に立つコーチングは、「答えは相手の中にある。コーチの役割は答えを相手から引き出し、目標達成の行動を相手に促すこと」が鉄則とされる。このことからコーチングは知識ではなく、あくまでもコミュニケーション・スキルである。米企業では、部下の業績向上の有効な手段として、管理者にコーチングの習得が求められている。

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デジタル大辞泉の解説

コーチング(coaching)

運動・勉強・技術などの指導をすること。
自分で考えて行動する能力をコーチと呼ばれる相談役との対話の中から引き出す自己改善技術。1990年代に米国で社員育成技法として始まる。

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人材マネジメント用語集の解説

コーチング

・coaching
・コーチングとは、人材育成を行う手法の1つである。
・質問型のコミュニケーションを使い、目標に対して相手が取るべき行動を自ら選択することを促す手法であり、自律的な選択により行動を誘発することを実現できる。
・元々、英語の馬車(coach)を意味する言葉であり、そこから人を目的地まで運ぶという意味に派生し、転じて「人を指導する」という意味になった。
・1800年代には、大学で学生に指導する個人教師を「コーチ」と呼ぶようになり、1880年からは、スポーツの世界でも指導者を「コーチ」と呼ばれ、その後ビジネスの分野においても浸透するようになった。
・ビジネスの分野で広く活用されるようになった背景には、技術の進歩や環境の激しい現在において企業が自律型人材を求めるようになったことや、マネージャーに部下の能力を引き出す指導者との役割を求められるようになったことが上げられる。

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人事労務用語辞典の解説

コーチング

コーチングとは、対話によって相手の成長や自己実現、目標達成を助ける人材開発手法の一つです。コミュニケーションによって気づきや新たな視点を与え、目標達成に必要な行動プロセスを導き出す手法です。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

コーチング
こーちんぐ
coaching

相手に質問しながら、その人の潜在能力や問題の解決策を自主的に引き出し、人材開発を進める技術。コーチング専門の資格をもった職業をさす場合もある。もともとはスポーツ界の指導者を意味する用語だったが、ビジネス界でも人材育成の技術(スキル)として幅広く使われるようになった。

 コーチcoachの語源は「馬車の人を乗せる部分」で、ここから「人を望むところへ送り届ける」との意味が派生した。コーチングは自主的行動を促す点で、コンサルティングや相談などとは別物とされる。1980年代に、バスケットボール、フットボール、ゴルフなどプロスポーツの分野でコーチングを体系的技術として理論化する試みが盛んになった。1990年代に入ると、企業の社員教育などの目的で広く普及。1995年にアメリカに国際コーチ連盟International Coach Federationができ、日本でも1999年(平成11)に日本コーチ協会、2002年に日本コーチ連盟が発足した。

[編集部]

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最新 心理学事典の解説

コーチング
コーチング
coaching

コーチングとは,1980年代から盛んになってきた学習の指導や援助,人材育成の方法である。コーチングは,スポーツの指導に起源をもち,設定された目標を達成するために,学び手が自ら学ぶことを助ける指導様式である。コーチは,それぞれの領域で指導者として専門的な訓練を受けた者であり,学び手の目標達成のために,気づきや動機づけを促し,具体的なスキルの獲得や実践場面での応用をめざす支援を行なう。コーチングは,実践の場で注目され,目標達成を支援する方法として学校教育や産業組織に広まってきたために,一般化された理論的定義が定着していない。

 学校教育の場でコーチングを明示的に指導法の中に位置づけたものに,コリンズColllins,A.の認知的徒弟制cognitive apprenticeshipがある。徒弟制とは,職場において親方が徒弟にスキルを継承する方法である。認知的徒弟制とは,学校教育における学習者の認知過程を伝統的な徒弟制のメタファーによってとらえ,知識や熟達者の用いる学び方のスキルを指導する方法である。

 認知的徒弟制では,伝統的な徒弟制において親方が徒弟を仕込むときのように,①モデリング:熟達者(たとえば教師)が模範を示し,学習者がそれを観察し,まねる段階,②コーチング:学習者をよく観察し,熟達者の遂行に近づくよう,ヒントを出したり,助言をしたり,課題を与えたり,といったさまざまな援助をしながら教える段階,③足場かけ・足場外し:学習者の課題達成を支援するために,手がかりや補助を与える足場かけを行ない,上達するにつれて支援なしに独力でできるよう足場を減らしていく段階,という三つの段階によって学習過程が構成される。

 たとえば,パリンサーPalincsar,A.S.とブラウンBrown,A.L.(1984)の互恵的教授法を認知的徒弟制の視点から見ると,教師が文章読解スキルのモデルを示したのちに,コーチングの段階として,質問の生成や,要約や予測を行なうなどの読解スキルの使用を促進するヒントや援助が学習者相互,あるいは教師から学習者に与えられる。互恵的教授法では,コーチングによってスキルの使用を促すことでスキルの内面化が図られる。

 また,産業組織においては,人材育成に関するリーダーシップとして,自発性を引き出し,目標をより速く達成できるよう動機づけていく技法としてのコーチングが提唱されている。そこでは,カウンセリングの影響を受けて,傾聴,質問,承認といったコミュニケーションスキルとしてのコーチングが活用されている。コーチする相手に,どうすればよいかを自分で気づかせるために,よく聞き,質問やヒントの提示によって自身で考えることを促し,承認を与えることで効力感を高める技法である。

 このようなコーチングと類似した概念にはメンタリングmentoringがある。メンタリングもまた人材の育成を目的とするが,コーチングが業績の改善や技能の向上といった目標の達成を支援するものであるのに対し,メンターとよばれるその領域の熟達者が新参者を長期間にわたって支援し育成していくという点でコーチングと区別される。

 コーチングは,学校組織においても指導的役割を果たす教員などの研修に利用されるようになってきている。また,傾聴,質問,承認といったコミュニケーションスキルは,本来,子どもたちの可能性を信じ,子どもたちの発言をよく聞き,一人ひとりの考えを認め尊重し,適切な発問で子どもたちに自分で考えることを促す,という授業中の教師の日常的な営みと対応するものであり,教師の実践的力量形成や授業研究において教師の指導を検討する際の視点としても注目されている。 →教授学習 →交流型学習
〔中條 和光〕

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