サトイモ科(読み)さといもか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サトイモ科」の意味・わかりやすい解説

サトイモ科
さといもか
[学] Araceae

単子葉植物。テンナンショウ科とよぶこともある。地下に根茎、球茎があり、または地上茎があってしばしば樹上に着生する。一部水生のものもある。全体にシュウ酸カルシウムの結晶を含むことが多い。葉は互生し、単葉または複葉で、網状脈または平行脈がある。花序は肉穂花序で、普通、基部につく1個の仏炎包(ぶつえんほう)に囲まれ、異臭を発するものが多い。花は両性または単性、単性のものでは普通は花被片(かひへん)がない。雌しべは1個、多くは液果を結び、種子には普通は内胚乳(はいにゅう)がある。世界に約115属2000種があり、大多数は熱帯亜熱帯に分布し、温帯には数が少ない。日本には12属約50種があるが、過半数はテンナンショウ属に属す。サトイモコンニャクなど、食用などにするものがあり、またアンスリウム、カラー、モンステラフィロデンドロンなど観賞用とするものも多い。

[邑田 仁 2022年1月21日]

 APG分類でもサトイモ科とされる。サトイモ科に含まれていたショウブ科は独立し、ウキクサ科はサトイモ科に含まれるようになった。この分類によると世界に約115属3000種があり、日本には15属74種がある。

[編集部 2022年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サトイモ科」の意味・わかりやすい解説

サトイモ科
サトイモか
Araceae

単子葉植物の主要な科の一つで,100属 2000種ほどを含み,その多くは新旧両大陸の熱帯,亜熱帯に分布する。しかしミズバショウはこの科の植物としては例外的に寒地や亜高山帯に生育する。形状,生態は多種多様であるが,全体としては幅の広い葉と網状の葉脈,仏炎包に包まれた肉穂花序の花などが特徴である。個々の花には花被がなく,おしべは本来6本であるが退化減少している場合が多く,はなはだしいものでは1本になる。めしべはさまざまであるが,熟すると液果になる。オウゴンカズラ,ホウライショウ,ヒメカイウ,コンニャク,ビロードカズラ,サトイモ,テンナンショウ,ヒスチアの8亜科に分類。サトイモ,タロイモなど食用作物を含むが,有毒なものも多い。葉や仏炎包の美しいものがあり,観葉植物 (カラジウムポトス,フィロデンドロンなど) や,花卉 (アンスリウムカラーなど) として有名なものも多い。

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