日本大百科全書(ニッポニカ) 「サラサドウダン」の意味・わかりやすい解説
サラサドウダン
さらさどうだん
[学] Enkianthus campanulatus (Miq.) Nichols.
ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の落葉低木ないし小高木で高さ4~6メートル。フウリンツツジともいう。葉は枝先に輪生状に集まり、倒卵形ないし楕円(だえん)形、長さ3~7センチメートル、両端がとがり、縁(へり)に細鋸歯(さいきょし)がある。5~6月、枝先に長さ2~3.5センチメートルの総状花序に広鐘形の花が垂れて開く。花冠は長さ8~12ミリメートルで先は浅く5裂し、黄白色の地に紅紫色の縦縞(たてじま)があり、雄しべは10本ある。蒴果(さくか)は下垂した果柄の先が曲がって、上向きにつき、楕円形、長さ5~7ミリメートルで10月に熟して5裂する。よく庭木にされる。名は、花冠の縞を更紗(さらさ)模様に見立ててつけられた。本州の近畿地方以北の深山、徳島県、北海道の渡島(おしま)半島に分布する。
変種のベニサラサドウダンは花冠が濃紅色でやや小さく、関東、北陸地方の亜高山帯に分布する。近縁種のカイナンサラサドウダンは長さ5.5~10センチメートルの総状花序を長く垂れ下げ、花冠は3分の1ないし2分の1まで5裂し、愛知県、紀伊半島、四国に分布する。
[小林義雄 2021年4月16日]