サンタクロース(読み)さんたくろーす(英語表記)Santa Claus

精選版 日本国語大辞典 「サンタクロース」の意味・読み・例文・類語

サンタ‐クロース

〘名〙 (Santa Claus) (四世紀頃の小アジアミュラ司教で子ども好きの慈善家であった聖ニコラスに由来し、米国で一般化、世界各国に広まったとされる) クリスマス前夜、子どもたちに贈り物を配って回ると伝えられる、赤い服を着た白ひげ老人サンタ。《季・冬》
※いたづら小僧日記(1909)〈佐々木邦訳〉「去年のクリスマスに貰ったんださうだ。それもサンタクロウスに貰ったといふから珍らしいや」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「サンタクロース」の意味・読み・例文・類語

サンタ‐クロース(Santa Claus)

クリスマスの前夜、子供たちに贈り物を届けるという白ひげの伝説上の老人。4世紀小アジアミラの司教セント‐ニコラウスに由来し、その祝日12月6日の前夜に贈り物を交換する習慣がさまざまに転化し、さらにオランダ系ピューリタンによって米国に伝えられ、クリスマスに贈り物をする習慣と結合した。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンタクロース」の意味・わかりやすい解説

サンタクロース
さんたくろーす
Santa Claus
Santa Klaus

キリスト教の聖人ニコラスの異称。英語表記の正しい発音はサンタクローズ。4世紀初め、小アジア(トルコ)のリュキアの首都ミュラの司教であった聖ニコラスSaint Nicholasは、他の伝承を吸収しながら、ギリシア正教会の世界でもっとも有名な聖人になった。1087年、聖遺物が南イタリアのバリに伝えられ、その崇拝ヨーロッパにも広まった。中世にはすでに2000のニコラス教会があり、至る所の広場、橋、道端立像がみられた。聖ニコラスは船乗り、パン屋、薬局、商人、法律家、子供、学生、不当に捕らえられた者、旅行者、あるいは水など、多方面の守護聖人になり、崇拝の大衆性をうかがわせる。祭日は12月6日。オーストリアではいまでもこの前夜に、司教に扮(ふん)した者が仮面や藁(わら)、毛皮で仮装した者たちと行列を組んで村を練り歩き、子供たちに説教し、あとで菓子やミカンなどをくれる。行列には新年の豊饒(ほうじょう)を願う機能もある。しかしこうしたカトリック地域の行事は、北ドイツのようなプロテスタントの地域では廃止されるか、クリスマスに移された。これによって、聖ニコラスとクリスマスが切り離せない関係になった。

 もともと聖ニコラスの日は、中世の修道院付属学校の少年司祭の行事と結び付いて、子供の祭日という性格を強めていたが、19世紀の初めには、子供に贈り物をする聖ニコラスのイメージが定着した。ヨーロッパには、ひげの老人が白馬、ロバ、鹿(しか)に乗ってくるという土地もある。

[飯豊道男 2018年2月16日]

『W・ディーナー著、川端豊彦訳『ドイツ民俗学入門』第2版(1969・弘文堂)』『谷口幸男、遠藤紀勝著『仮面と祝祭』(1982・三省堂)』『国際機関日本サンタピア委員会監修『クリスマス事典』(2001・あすなろ書房)』『稲垣美晴著『サンタクロースの秘密』(講談社文庫)』『賀来周一著『サンタクロースの謎』(講談社プラスアルファ新書)』『J・G・フレーザー著、永橋卓介訳『金枝篇3』改版(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

インボイス

送り状。船荷証券,海上保険証券などとともに重要な船積み書類の一つで,売買契約の条件を履行したことを売主が買主に証明した書類。取引貨物の明細書ならびに計算書で,手形金額,保険価額算定の基礎となり,輸入貨...

インボイスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android