サンチョ3世(大王)(読み)サンチョさんせい[だいおう](英語表記)Sancho III Garcés, el Mayor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンチョ3世(大王)」の意味・わかりやすい解説

サンチョ3世(大王)
サンチョさんせい[だいおう]
Sancho III Garcés, el Mayor

[生]992頃
[没]1035.10.18.
ナバラ (パンプロナ) 王 (在位 1005~35) 。サンチョ・ガルセス・エル・マヨルとも呼ばれる。ガルシア・サンチェス2世 (ガルシア3世) の子。政治的手腕に優れ,軍事力によらず,各地の内部の動きを利用してナバラ王国の発展をはかった。まず,ソブラルベやリバゴルサなどを奪取し,次いでバルセロナ伯となり,またガスコーニュから統治権を奪った。カスティリアのサンチョ・ガルシア伯の娘と結婚して 1028年カスティリアを併合,次いでレオンの首都を占領し,1034年そこで戴冠した。このようにしてスペインの全キリスト教国にナバラ王国の権力が及び大国となったが,王はこれを4分割して4人の息子に残した。また,アラゴン王国を創設し,カスティリアの地位を高めて王国とした。しかし,カスティリアの領地の一部をナバラ領に加え,これを長男のガルシア・サンチェス3世 (ガルシア4世) に与えたため,紛争の原因となった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「サンチョ3世(大王)」の解説

サンチョ3世(大王)(サンチョさんせい(だいおう))
Sancho Ⅲ (el Mayor)

992?~1035(在位1004~35)

ナバラ国王。婚姻戦略を駆使して,カスティリャ伯領を併合,レオン王国を保護国とし,カタルニャ諸伯をも服属させた。これによりイベリア半島のキリスト教徒諸王国は,同国王のもとで一時的に統一された。対イスラーム関係では,紀元1000年頃に押し戻された前線を回復したが,レコンキスタと呼ぶに値するほどの征服領域の拡大はなかった。没後分割相続によってカスティリャ王国アラゴン王国が独立した。

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