ザナドゥの遺跡(読み)ザナドゥのいせき

世界遺産詳解 「ザナドゥの遺跡」の解説

ザナドゥのいせき【ザナドゥの遺跡】

2012年に登録された世界遺産(文化遺産)。ザナドゥ(キサナドゥ)は、モンゴル(元)皇帝、フビライクビライ)が、北京の北約300km、モンゴル高原南部に1256年に設けたモンゴル軍の拠点で最初の首都だった開平府のこと。のちに大都(現・北京)に遷都するが、開平府は上都と改称され、夏の首都として栄えた。ジンギスカンやフビライに仕えた中国人政治家、劉秉忠(りゅうへいちゅう)によって創設された上都は、2万5000haの土地に、遊牧の民、モンゴル人の文化と元時代の中国の文化、チベットの仏教(密教)文化が融合した独特の宮殿・寺院・王族墳墓運河などの水系などが残されており、これらが世界遺産に登録された。ここから広域に普及したチベット仏教の文化的、宗教的な伝統は、今でもこの地のいたるところに息づいている。また北に山、南に川があり、都市や墳墓は、中国の風水思想に基づく南北軸にのっとって設計され、遊牧民の野営地や王室の狩猟場などが囲んでおり、現在でもその区画跡の残る都城外郭(羅城)に囲まれている。なお、上都を訪問したマルコ・ポーロが、『東方見聞録』に記録したことで、ザナドゥは、ヨーロッパでも伝説の都市としてその名が知られている。◇英名はSite of Xanadu

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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