アラビア半島東部,ペルシア湾に面するアラブ首長国連邦の構成国。シャールジャ,シャーリカとも表記する。同名の港が中心都市。面積2600km2,人口49万(2002)で,ともに連邦第3位。オマーン湾側に飛地が3ヵ所ある。ラス・アルハイマはアラビア語で〈天幕の頂〉を意味する。これは,水夫たちの目じるしとなったといわれるテントの柱頭の明りに関する伝説に由来している。カワーシム(ジョワーシム)族の支配のもと,古くから湾岸の中心的な商業港となり,ペルシア,パキスタン,インド,アフリカからの船が集まり,真珠採取の基地としても漁港としても活気を呈していた。近世以降はヨーロッパ船の寄港地ともなる。20世紀にはいってドバイの開放政策におされ,最近では商業港としての地位は逆転された。石油開発は1969年からで,アブー・ムーサ島沖のムバーラクで油田を発見,74年から生産開始。連邦三産油国の一つであるが生産額は連邦全体の2%で3位である。
外交的には北西海上のアブー・ムーサー島の領有をめぐってイランと対立していたが,連邦成立前の1971年,一部地域におけるイランの軍事占領,他地域におけるシャルジャの主権,石油生産の共有などで妥協ができた。しかし,アラブ首長国連邦政府はイラン軍の撤退を要求しており,両国間の対立の最大のポイントとなっている。
また,比較的自由なアラブ首長国連邦にあっては,めずらしく宗教的な戒律が厳しく,1985年にシャレジャ政府は酒の販売を禁止している。
執筆者:冨岡 倍雄+保坂 修司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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