アメリカ合衆国の国家要人の特別護衛機関。管轄は財務省で、この組織は南北戦争中、南軍による組織的通貨偽造に対抗するため、北軍の秘密情報部Army Secret Serviceとして設立されたため、この名称がつけられた。1901年マッキンリー大統領の暗殺をきっかけに、大統領の身辺警護をも任務とするようになった。現在、国家要人として警護の対象となるのは、(1)現職の大統領、副大統領とその家族、(2)次期大統領、副大統領とその家族、(3)主要大統領候補と副大統領候補、場合によりその配偶者、(4)前、元大統領とその夫人(死亡または再婚まで)およびその子弟(16歳まで)、(5)米国訪問中の外国元首、首相その他の外国要人、(6)特別用務のため外国を訪問する米国政府代表で大統領の指定する者である。また、ホワイトハウスとワシントンにある各国大使館の警備、偽造通貨の取締りも担当している。これらの任務を遂行するため、約3500人の職員がおり、うち、スペシャル・エージェント(特別捜査官または警護官)が約1600人、制服警備官が約900人、そのほかとなっている。スペシャル・エージェントになるためには、大学を卒業し、警察実務の経験を有していることが必要で、在任中、高い技術水準を維持するために、射撃や護身術の厳しい訓練をすることで定評がある。
[上野治男]
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