護身術(読み)ゴシンジュツ

デジタル大辞泉 「護身術」の意味・読み・例文・類語

ごしん‐じゅつ【護身術】

他人から危害を加えられた際に自分の身を守るためのわざ。積極的に相手に攻めかかるのではなく、相手が攻撃しにくい距離を保つ、つかまれた腕を振り払う、道具による攻撃を制するなど、受け身のわざが中心となる。護身法

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改訂新版 世界大百科事典 「護身術」の意味・わかりやすい解説

護身術 (ごしんじゅつ)

相手の攻撃を押さえるか避けるかして,自分の身の安全を守るための技術。したがって必然的に対敵動作となり,さまざまの武術から技をとり入れてまとめあげている。合気道空手柔道拳法などが中心であるが,十手警棒ステッキなどを用いるものもある。この場合,武器というより,おもに日常携行できる小さな用具類である。そしてその術は,自分から攻撃するのではなく,あくまで相手の攻撃を封じ,または相手から離脱する方法である。日本の武術は,古来,自分から相手を攻撃し倒すためより,相手の攻撃を読みとり,それを封じてわが身の安全をはかるという護身的性格が強かった。〈生兵法は大けがのもと〉〈逃るるが兵法の奥〉と《嬉遊笑覧》にあるように,危険に近寄らず,危険に際しては相手から逃れることを第一と教えた兵法の真意は,また護身の観念をもっともよく語るものといえる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「護身術」の意味・わかりやすい解説

護身術
ごしんじゅつ

相手から危害を加えられた場合に、これを制して自分の身の安全を護(まも)る術。自分が相手に積極的に危害を加えて身を護る術ではなく、相手の攻撃を未然に封じたり、制御したりする受け身の術である。柔道の護身法は、古くから行われている真剣勝負の形である「極の形(きめのかた)」、新しく日常生活におこりうる場合を想定してつくられた「講道館護身術」、とくに女子のためにつくられた「女子柔道護身法」などがあり、これらを形(かた)として練習している。「極の形」は、座っている場合(居取(いどり)八本)と立っている場合(立合(たちあい)十二本)とがあり、相手が無手、短刀および長刀で攻撃してきた場合に相手を制する方法が取り入れられている。「講道館護身術」は、相手から組みつかれた場合、離れたところから打つ、突く、蹴(け)るなどして攻撃してきた場合、短刀、杖(つえ)および拳銃(けんじゅう)で襲われた場合を選び、柔道のもつ投げる、押さえる、絞める、関節をとる、打つ、突く、蹴るなどによって、身を護る21本の代表的な技からできている。「女子柔道護身法」は、機敏な体さばきを練習する基本動作、相手の攻撃に即応して身体を離脱する法、相手の攻撃に対応して制御する法からできている。

[竹内善徳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「護身術」の意味・わかりやすい解説

護身術
ごしんじゅつ

相手の攻撃から身を守る術。相手に危害を加えて守るのではなく,未然に攻撃を封じ,離脱し,制御する。一般に柔道空手拳法合気道ボクシングなどで修得した格闘技を生かして護身に応用する場合が多いが,あらかじめ護身術として体系化した形も少くない。柔道における講道館護身術,極 (きめ) の形,女子柔道護身法などはこれである。講道館護身術は,投げる,押える,絞める,関節を取る,打つ,突く,蹴るなど徒手による技を生かしたもので,これらの技による攻撃および短刀,杖,拳銃など武器を用いた攻撃に対する制御法を内容とする。その分類は,(1) 徒手の部 組みつかれた場合7本,離れた場合5本。 (2) 武器の部 短刀,杖,拳銃,それぞれの場合3本とされ,代表的な技 21本が制定されている。

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百科事典マイペディア 「護身術」の意味・わかりやすい解説

護身術【ごしんじゅつ】

他人の攻撃から身を守る体技。一般に武器を用いず,柔道合気道空手拳法などの技を組み合わせて使う。それらの技は,自分から攻撃することはなく,あくまでも相手の攻撃を封じ込んだり,相手から離脱する方法が中心である。

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世界大百科事典(旧版)内の護身術の言及

【柔道】より

…形とは,理論にもとづいてあらかじめ定められた攻撃・防御の順序方法に従って行う練習形式である。講道館で制定している形には投(なげ)の形,固(かため)の形,極(きめ)の形,柔の形,五つの形,古式の形,講道館護身術,精力善用国民体育の形などがある。 (1)投の形 投げ技の代表的なものを集めたものであり,手技(浮落,背負投,肩車),腰技(浮腰,払腰,釣込腰),足技(送足払,支釣込足(ささえつりこみあし),内股),真捨身技(巴投(ともえなげ),裏投,隅返(すみかえし)),横捨身技(横掛,横車,浮技)の15本からなっている。…

※「護身術」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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