ジアゾジニトロフェノール(読み)じあぞじにとろふぇのーる(英語表記)diazodinitrophenol

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ジアゾジニトロフェノール
じあぞじにとろふぇのーる
diazodinitrophenol

1858年ドイツのJ・P・グリースによって初めて合成されたジアゾ化合物で、DDNPと略記されることが多い。日本では工業雷管や電気雷管の起爆薬として用いられている。

 ピクリン酸水溶液に水酸化ナトリウム(カ性ソーダ)を加えて加熱し、さらに硫化ナトリウム溶液を加えて還元するとピクラミン酸ナトリウムが得られる。これを塩酸酸性の水溶液中で亜硝酸ナトリウムによりジアゾ化すると得られる。起爆薬用には流動性に富む粒状のものが、点火薬用には細い結晶状のものが用いられる。

 結晶は黄色針状または板状で、日光が当たると黄褐色から暗色に変色する。水に不溶、アセトン酢酸などによく溶ける。起爆力に優れ、爆速比重1.58のときに毎秒6900メートルである。打撃および摩擦に対する感度はアジ化鉛より鈍感。熱安定性はアジ化鉛より劣る。

吉田忠雄・伊達新吾]


ジアゾジニトロフェノール(データノート)
じあぞじにとろふぇのーるでーたのーと

ジアゾジニトロフェノール

 分子式 C6H2N4O5
 分子量 210
 比重  1.63
 発火点 190℃(5秒経過後発火点)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 の解説

ジアゾジニトロフェノール
diazodinitrophenol


DDNPと略記。1858年グリースJ.P.Griessによって初めて合成された起爆薬の性質をもった化合物。日本では工業雷管電気雷管の起爆薬として用いられている。ピクリン酸に苛性ソーダを加え,さらに硫化ナトリウムを加えて還元するとピクラミン酸ナトリウムが得られる。これを塩酸酸性の水溶液中で亜硝酸ナトリウムによりジアゾ化すると得られる。起爆薬用には流動性に富む粒状のものが,点火薬用には細い結晶状のものが用いられる。純品は黄色針状または板状の結晶で,日光があたると黄褐色から暗色に変色する。水に不溶,アセトン,アニリン,酢酸などによく溶ける。起爆力に優れ,打撃および摩擦感度はアジ化鉛より鈍感である。熱安定性はアジ化鉛のほうが優れている。
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