スクーター(読み)すくーたー(英語表記)scooter

翻訳|scooter

精選版 日本国語大辞典 「スクーター」の意味・読み・例文・類語

スクーター

〘名〙 (scooter)
子どもの遊び具の一つ。細長い台にハンドルのついた二輪または三輪車。台に片足を乗せ、他の足で地面をけってすべる。
浮雲(1949‐50)〈林芙美子〉三八「子供のスクータアや乳母車が入れてあった」
② またがらないで乗れる小型自動二輪車。
※若いセールスマンの恋(1954)〈舟橋聖一〉一「この車は、見たところはスクーターだが、高度の防風装置のあるオートバイ一種で」

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デジタル大辞泉 「スクーター」の意味・読み・例文・類語

スクーター(scooter)

腰かけた形で乗れる、車輪の小さい自動二輪車。
子供が片足をのせて他の片足で地をけって進む、玩具の二輪または三輪車。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スクーター」の意味・わかりやすい解説

スクーター
すくーたー
scooter

二輪自動車の一型式。オートバイの一変型とみることもできる。オートバイはまたがって乗るので、スカート女性やスーツ姿の男性、老人には乗りにくい。そこで、車輪の直径を小さくし、足をそろえて腰掛けて乗れるようにしたのがスクーターである。エンジンも、なかには80cc、125cc、250ccのものもあるが、日本で第1種原動機付自転車となる50cc以下のものが大半を占める。多くはVベルト式の無段自動変速機をもち、操縦は容易である。その形態、性能から長距離走行には不向きであり、もっぱら近距離の通勤、通学、買い物などに用いられている。運転免許を必要とする。

 その歴史はほとんどオートバイと等しいほど古く、1921年にはイギリスのネラカーNeracar、ドイツのメゴラMegoraなど今日に近いものがつくられた。しかし本格的に普及したのは第二次世界大戦後のことで、経済の疲弊によって人々に自動車が所有できなかったうえに、軍需産業、とくに航空機産業が平和産業への転身を図ってつくり始めたためである。イタリア、旧西ドイツ、日本などにおける第一次スクーター・ブームは、自動車の普及によって1950年代末までにいったん収まったが、80年代に入って、主として日本で第二次ブームがおきている。今回の流行は乗用車に対する補助的な乗り物としてである。女性の使用が多いため、ソフトバイクとよばれることもある。

[高島鎮雄]


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改訂新版 世界大百科事典 「スクーター」の意味・わかりやすい解説

スクーター

英語でスクーターscooterといった場合,本来は片足を台の上に乗せ,もう一方の足で地面をけって走る2輪の遊戯具のことであるが,現在ではエンジンによって駆動する二輪車,すなわちモータースクーターmotor scooterを指すのがふつうである。明確な定義はないが,日本では1953年に日本自動車工業会が中心となってまとめたものによると,〈原動機を座席の下に設け,前方に足踏台のある,車輪が22インチ以下の二輪自動車〉とされているが,オートバイと分類上の境界は明確ではなく,両者の中間的形態で判然としないモデルもある。ガソリンタンクがシート下や後部に設置されているため乗り降りが容易で,車体はカバーされているため着衣が汚れることも少ない。運転操作は,多く遠心式の自動クラッチやVベルトを用いた自動変速機が採用され,いたって簡単である。その起源について定説はないが,1935年アメリカ軍の落下傘部隊に折畳式のものが用いられたのが最初とされる。日本では,第2次世界大戦終了後の45年,それまでの軍用機メーカーが製造を始めてから普及,オートバイに押されて69年には製造は中止されたが,最近,簡便な交通手段として需要が高まり,再び生産されるようになった。
オートバイ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スクーター」の意味・わかりやすい解説

スクーター
motor scooter

小型のオートバイの一種。エンジン部分が覆われ,前輪の幅の広い泥よけと左右一体の床板を有し,腰かけ形式,小径車輪を特徴とする。普通,自動変速装置を装備しており,操縦が簡便で手軽に乗ることができる。第1次世界大戦直後ヨーロッパで実用化され,日本では第2次世界大戦後,アメリカ軍空挺部隊の連絡用スクーターをモデルとして生産が行なわれるようになった。戦後の市民の足代わりとして人気を博したが,その後 1960年頃から自動車,特に軽四輪の普及と,スポーツ用オートバイブームに押され漸次姿を消した。その後 1980年代頃から,より手軽な移動手段として見直され,50cc以下のものが普及,さらに 2000年頃からは2人乗りが可能な大型スクーターが人気を集めた。

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百科事典マイペディア 「スクーター」の意味・わかりやすい解説

スクーター

モータースクーターの略。両足をそろえて前に置き,座席に腰掛ける形式のガソリンエンジン付き二輪車。エンジンは座席の下にある。車輪は直径が22インチ(約56センチ)以下と小型なため,走行安定性は多少悪いが操縦性は比較的よく,自動変速機付なので変速操作が不要で運転が容易。オートバイに比べ速度は遅く,最高時速は50〜100キロである。本来は,片足を乗せ,もう片方の足で地面を蹴(け)って走る子供の遊戯用二輪車であるスクーターを動力化したもので,1930年代半ばにアメリカで作られ,日本では第2次世界大戦後に製造が始まった。
→関連項目オートバイ

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