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スズラン

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百科事典マイペディアの解説

スズラン

(1)北海道,本州,九州(まれ)の高原の草原にはえるユリ科の多年草キミカゲソウ(君影草)とも。葉は2枚,相接して細長い根茎につき,長楕円形で長さ15cm内外となり,粉緑色を帯びる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

スズラン
すずらん / 鈴蘭
lily of the valley
[学]Convallaria keiskei Miq.

ユリ科の多年草。キミカゲソウ(君影草)ともいう。葉は2、3枚根生し、長さ10~18センチメートル、幅3~7センチメートル。初夏、高さ20~35センチメートルの花茎を出し、径約1センチメートルの鐘形で純白色の花を5~10個下向きに開く。花冠は先が六裂して反り返り、芳香がある。果実は球状となり、赤く熟す。高原に生え、中部地方以北の本州、北海道、およびアジア北部に分布する。切り花鉢植え、庭植えにするが、現在よく栽培されているのは、ほとんどドイツスズランC. majalis L.である。これは前種に比べて、葉は丸みを帯び、光沢があり、花は大輪で、芳香が強い。[魚躬詔一]

栽培

露地植えの場合、夏の西日が当たらない半日陰を選び、用土は堆肥(たいひ)、油かす、化成肥料をよく混ぜた肥料分の多いものにする。10月中旬、小指の先大に肥大した、花芽のついた地下茎を選び、約10センチメートル間隔に植え、覆土は芽先2センチメートル程度とする。鉢植えは10月中旬、5号平鉢に5~6芽植えとし、冬は鉢ごと土中に埋め越冬させる。フレームや温室を利用する場合は、翌年1月下旬以降、土中から掘り出し、フレームか温室で育てると1か月ほどで花を開く。繁殖は株分けによる。[魚躬詔一]

文化史

英名のリリー・オブ・ザ・バリーlily of the valleyは、『旧訳聖書』のソロモンの雅歌に載る谷のユリshoshannahから由来したが、本来パレスチナ地方にスズランはなく、これはアネモネの一種Anemone coronaria L.か、マドンナリリーLilium candidum L.、あるいはカミツレの類Anthemis palaestina Reut.などと考えられている。スズランのもっとも古い歴史は、聖レオナール(英名レオナード)がフランスのリモージュ近くの谷(一説ではベルギーのルーバンの森、イギリスにも別説あり)で、ドラゴンと闘い、流した血から生じたという伝説である。ドイツスズランはヨーロッパの中北部に広く分布し、古くから各国の伝説、民話に取り入れられた春の歳時植物である。フランスでは5月1日がスズランの日で、各地でスズラン祭りが開かれ、その日スズランの花束が贈られると、幸福が訪れるといわれてきた。ヨーロッパでは薬草としても使われ、11世紀にプラトニクス・アプレウスが、手の傷や腫(は)れ物に効くと書き留めている。花をはじめ全草にコンバラトキシンなどの強心性配糖体を含み有毒だが、微量は強心剤に使われる。
 日本では江戸時代の園芸書には顔をみせず、松平秀雲(しゅううん)(君山(くんざん))が『本草正譌(ほんぞうせいか)』(1776)に君懸(きみかけ)草、八千代草を取り上げたのが古く、飯沼慾斎(いいぬまよくさい)の『草木図説』(1856)には正確な図が載る。一般に知られるようになったのは明治の終わりごろからである。北海道にはとくに多くみられるが、アイヌの人々はセタプクサ(イヌのギョウジャニンニク)とか、チロンヌプキナ(キツネのギョウジャニンニク)とよび、利用はしなかった。[湯浅浩史]

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