日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギョウジャニンニク」の意味・わかりやすい解説
ギョウジャニンニク
ぎょうじゃにんにく / 行者忍辱
[学] Allium victorialis L. subsp. platyphyllum Hultén
ユリ科(APG分類:ヒガンバナ科)の多年草。鱗茎(りんけい)は披針(ひしん)形で、網目状の繊維からなる外皮に包まれる。幼植物は狭長楕円(だえん)形の葉を1枚のみつけるが、成熟個体は長楕円形の葉を2枚つける。葉身はやや肉質で深緑色、長さ20~30センチメートル、基部は鞘(さや)となって花茎を包む。5、6月に40~70センチメートルの花茎を出し、その先端に散形花序をつける。花は一見ネギに似て白色で、多数の花がつくので全体が球形となる。北海道、本州中北部から中国大陸にかけて広く生育し、母種はヨーロッパに分布する。名は、行者が食べるニンニクの意味。臭気がきわめて強いが食用となる。
[河野昭一 2019年1月21日]