ストレプトカーパス(その他表記)streptocarpus
Cape primrose
Streptocarpus×hybridus Hort.

改訂新版 世界大百科事典 「ストレプトカーパス」の意味・わかりやすい解説

ストレプトカーパス
streptocarpus
Cape primrose
Streptocarpus×hybridus Hort.

イワタバコ科多年草で,らっぱ状の美花をつける温室植物である。南アフリカの喜望峰近くに自生するヒメギリソウS.rexii Lindl.にいくつかの種類が交雑されて作出された園芸品種一群である。ストレプトカーパス属は主にアフリカに分布し,約130種を含むが,園芸で単にストレプトカーパスといえば,交雑育成されたこれらの品種群を指すことが多い。地際から数枚ないし十数枚の細長い葉を生じる。葉には1本の主脈と多数の平行する側脈がある。主に春から初夏にかけて葉の基部から長い花梗が伸び,その頂部に1ないし数花をつける。花は青,紫,赤,白色など。果実は細長く,熟すとらせん状に裂ける。繁殖は微細な種子をまくか,葉挿しするか,株分けによる。冬は最低10℃程度の温室で育てる。暑さに少し弱い。

 ストレプトカーパス属にはこのほか,子葉の1枚のみが生長を続け,長さ数十cmとなり,本葉を生じないウシノシタS.wendlandii Sprengerが,その特異な葉の形から有名である。繁殖は微細な種子をまくか,葉挿しするか,株分けによる。冬は最低10℃程度の温室で育てる。暑さに少し弱い。
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百科事典マイペディア 「ストレプトカーパス」の意味・わかりやすい解説

ストレプトカーパス

アフリカ,マダガスカル,アジアに分布するイワタバコ科の一属で,数種が観賞用に温室で栽培される。ふつう茎はなく毛が多い。ストレプトカーパス・ウェンドランディ(和名ウシノシタ)は長さ90cm,幅60cmもある卵状長楕円形で裏が赤紫色の葉が1枚で,花茎を数本出し,青紫色の花をたくさんつける。ストレプトカーパス・レキシー(和名ヒメギリソウ)は長さ約20cmの長楕円形の葉を根生し,淡青色の花をつける。園芸的にもっぱら栽培されるのは交雑により生まれた多くの園芸品種で花色も紅・桃・白など変化に富み,セントポーリアとともにイワタバコ科の重要な園芸植物になっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ストレプトカーパス」の意味・わかりやすい解説

ストレプトカーパス
すとれぷとかーぱす
[学] Streptocarpus rexii Lindl.

イワタバコ科(APG分類:イワタバコ科)の多年草。和名ヒメギリソウ、および本種をもとにした交雑園芸品種の総称。南アフリカ原産。葉は数枚が根生し、長楕円(ちょうだえん)形でしわがあり、長さは約20センチメートル。5月ころ、葉の間から花茎を出し、先端に径約6センチメートルの花を1~2個横向きにつける。花冠は漏斗(ろうと)状で先端は不等に5裂し、紫、青、紅、桃、白色などの品種がある。温室鉢物として栽培される。土は壌土腐葉土を等量に混ぜたものなどを用い、夏はよしず下で栽培し、冬は室温を最低10℃に保つ。繁殖は普通は実生(みしょう)によるが、株分けや葉挿しもできる。

[松岡清久 2021年7月16日]

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