手首に装着して用いる多機能情報端末の総称。腕時計型とリストバンド型があり、メガネ型などを含むウェアラブル端末の一種である。文字盤に相当する小型タッチ画面と中央処理装置(CPU)を装備し、マイク、スピーカー、充電池などを内蔵。全地球測位システム(GPS)、ジャイロスコープ、加速度センサー、心拍センサー、温度センサーなどを搭載した機種もある。スマートフォンと同様、通信、地図、写真・映像撮影などの各種ソフトウェア(アプリケーション)を使用できる。アラームやタイマー、ストップウォッチなどの時計としての機能に加え、電話・メール・ニュース・SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の受・配信、血圧・心拍数・血中酸素濃度・歩数・睡眠などのデータに基づく健康・運動管理、買い物や電車・バスを利用する際の決済、音楽再生、地図・経路検索、天気予報、簡易メモ、質問に答える音声アシスタント、家電機器を遠隔操作するスマート・ホーム端末制御など多様な機能を備えている。重さは数十グラムから100グラム程度までで、防水機能をもつタイプもある。スマートフォンと通信・連携が可能な機種と、単独で機能する機種があり、iOSやアンドロイドなど複数OS(基本ソフト)に対応可能なタイプもある。日常活動を妨げず、わざわざスマートフォンを取り出さずに、装着したまま操作できる利点がある。電池の持続時間は十数時間~数日が一般的だが、リストバンド型で1週間以上もつタイプもある。
コンピュータ内蔵の腕時計型端末は1980年代からあったが、アメリカのアップル社が2015年に発売したアップルウォッチを契機に世界的に普及した。アップル、グーグル、華為技術(ファーウェイ)、サムスンなど世界のIT企業のほか、電機、時計会社などが相次いでスマートウォッチ市場に参入し、市場調査・コンサルティング会社のモルドールインテリジェンスは、2020年に6859万台と評価された世界のスマートウォッチ市場は、2026年には2億3030万台に達すると予測している。また、複数の調査機関が健康管理やスポーツ需要の伸びで、2023年以降も年率10%以上の市場拡大を予測している。日本での小売価格は、リストバンド型が数千円台から、時計型は数万円台からあるが、数十万円する高級タイプもある。
[矢野 武 2023年8月18日]
出典 (株)朝日新聞出版発行「パソコンで困ったときに開く本」パソコンで困ったときに開く本について 情報
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